妊娠7ケ月(妊娠24週から27週)の赤ちゃんはさらに大きくなり、手足や胴体も長くなるため、だんだんと子宮の中が窮屈になります。同時に母体は妊婦さんらしい身体つきになります。
そして妊娠7ケ月から再び定期健診が2週間に1回になる産婦人科が増えてきます。赤ちゃんが大きくなってくるので、正常に成長しているか、羊水量の調節が正しく機能しているかなどを調べるためです。
同時に、切迫早産や早産の危険性、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病など母体の健康状態に問題がないかも確認します。ただ「妊婦健診にさえ行けば大丈夫」というわけではなく、ママが赤ちゃんの成長に合わせて日頃から気をつけるべきこともあります。
そこで妊娠7ケ月の赤ちゃんの様子やママの過ごし方、注意点について詳しく説明していきましょう。
もくじ
妊娠24週ごろに見つかる胎児の病気や死産の可能性は?
妊娠初期は1mmにも満たなかった赤ちゃんが、妊娠24週には、身長30~35cm、体重は460g~900gまでに成長します。
妊娠7ケ月は赤ちゃんがお腹の中で最も激しく動き回るようになると言われ、赤ちゃんの元気の良さに「イテテ……」と苦笑いする場面も増えるかもしれません。私も胎児の胎動によって夜中起こされ、寝られないことがしばしばありました。
また、24週の赤ちゃんは気管・気管支・呼吸筋・横隔膜などが全て揃い、声を出す機能を完成させつつあります。さらに、毛細血管が皮膚下でつくられ始め、赤ちゃんがピンク色の肌に見えるようになります。
胎児が順調に成長する一方で、24週検診のエコーのときに先天異常が見つかる場合があります。その中でも口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)は0.2%程度の確率で発症する、日本人に比較的多い病気です。口唇口蓋裂では唇や上顎に裂け目が入ります。
妊娠中の葉酸不足や喫煙、高齢出産などが原因だと考えられています。したがって妊娠前からの葉酸の摂取が大切なのです。
また、口唇口蓋裂以外にもエコー検査でダウン症が見つかる場合があります。後頭部のむくみはダウン症の特徴の一つです。エコーのみで診断することはできませんが、疑いがある場合は羊水検査を受ければ判断できます。
その他、妊娠24週に突然死産する可能性もあります。妊娠が進むにつれて無事に赤ちゃんが生まれる確率は高くなりますが油断は禁物です。
死産の原因は母体側の病気、胎児の先天異常、事故など様々です。防ぎようのない原因もありますが、早期に気づいて治療することで死産を回避することができます。そのためには妊婦検診を必ず受けること、何かおかしいと感じたら早急に病院に連絡することです。
ママは赤ちゃんのことも考えた食事を摂る
妊娠した状態の子宮の一番上の部分を「子宮底」と呼びます。
妊娠24週になると、子宮底はおへその上まで届いている状態になります。そのため、下腹部だけでなく、胃のあたりからママのお腹が前にせり出しているような形になるでしょう。
赤ちゃんの成長につれて、お腹はどんどん大きくなっていき、子宮が胃を圧迫してしまうので、胸がつかえたような感じになって、1回に食べられる量が減るママも増えてきます。「つわりが再発した」と考える妊婦さんもいらっしゃるでしょう。
さらに、腸などの周辺の内臓もますます圧迫されるようになるため、お腹にガスも溜まりがちになって、腹痛を招きやすくなります。そこで、「食事を何回かに分けて摂るようにする」「消化の良いものを食べるようにする」「便秘を治す」などの対策を打ちましょう。
私の場合、和食を中心とした以下のようなバランスの良い食事を心がけていました。
また、妊娠24週ころから胎児は味覚が非常に鋭く発達し、ママが摂取した食べ物の味を感じ取ることができるようになるといわれています。
ママが摂取した食べ物は、血液や羊水を通じて赤ちゃんも味わっています。したがって、赤ちゃんの味覚の発達も意識しながら食材やメニューを選ぶようにしましょう。特に、辛い物については注意が必要です。
赤ちゃんは辛みを「痛み」として感知するといわれ、ママが辛い物ばかり食べていると赤ちゃんには痛みが伝わってしまう可能性があります。舌の感覚を発達させていくために辛い物の摂取もある程度は必要ですが、食べ過ぎには注意しましょう。ママの胃腸にも負担がかかります。
さらにこの時期、「まだ分娩する病院の予約を取っていない」というママがいらっしゃったら早急に行いましょう。病院によっては既に予約でいっぱいの可能性があります。
特に里帰り出産を考えている方は、通院している産婦人科の先生とよく相談して、いつ頃里帰りするかなども含めて話し合いましょう。
妊娠24週で早産した場合の生存率は?
早産で生まれた赤ちゃんの中には、妊娠24週で生まれる赤ちゃんも存在します。前述した通り、妊娠24週の赤ちゃんは体重1kgにも満たない未熟児です。
妊娠23週までの早産の赤ちゃんは残念ながら1年以内の生存率は50%以下ですが、24週を過ぎると早産になっても生存率は大きく上がり約60%になります。とはいっても妊娠37週までの出産はなるべく避けたいものです。
切迫早産についても同様です。ママが激しい運動をしたり、重いものをお腹に落としてしまったり、大きなストレスを抱えたりすると子宮収縮や破水などを招いて切迫早産につながる可能性があります。
足元が見えにくくなる時期でもあるので、転倒などには十分に注意しましょう。
妊娠25週の赤ちゃんはママの趣味の影響を受ける
妊娠25週の赤ちゃんの身長は31~36cm、体重は550g~1kgほどにまで成長します。まだ身体には脂肪が少なく、皮膚はシワシワのままです。ママのお腹の中で、くるくると宙返りをしたり踊っているような動きをしたりと、様々な動きを見せてくれます。
25週に大きく発達するのが目のレンズである「水晶体」です。まだ、何かが見えるわけではありませんが、外に出て見るための準備を始めているのです。
また、鼻の穴が開き、呼吸の練習が開始されます。肺では、サーファクタントという肺胞をつぶさないように表面張力を減少させる働きを持った界面活性剤の分泌も始まるようになります。
一方、脳の方では「大脳皮質」が発達します。より赤ちゃんの神経が細やかになって、記憶や感性に関する能力も出てくると言われています。赤ちゃんにストレスを与えるようなことは避けましょう。
また、妊娠25週ころにママがやっていた趣味などが赤ちゃんに影響を与え、大きくなってから同じような趣味を持つことがあるといわれています。例えば、ママがたくさん読書をしていると、本が好きな赤ちゃんが生まれてくる可能性があるのです。
痔・尿漏れ・体毛が濃くなるなどのトラブルに悩まされる妊娠25週
妊娠25週では子宮底がおへそよりも高くなり、さらに羊水量が増えてお腹はどんどん大きくなっていきます。そのため、子宮が周辺の臓器を圧迫し、腸の周りがうっ血して「痔」になる妊婦さんが数多くいらっしゃいます。
また膀胱への圧迫に加え妊娠によって膣周辺が緩んでいることから、頻尿や尿漏れに悩まされるママも増えます。一時的なことなので市販のおりものシートやパッドなどを使って上手く乗り切りましょう。
さらに、妊娠25週ころからホルモンの影響でお腹・足・腕・背中などのうぶ毛が濃くなる妊婦さんが増えてきます。「体毛が濃くなるなんて……」とショックを受ける方も多いかもしれませんが、出産後は元に戻るのであまり心配しないようにしましょう。
当然ですが妊娠中は、医療脱毛や光脱毛はできません。また肌が敏感になるのでカミソリを頻繁に使用するのもお勧めできません。「妊娠中に毛深くなるのは仕方のないこと」と割り切って、洋服などで上手く隠すようにしましょう。
様々なマイナートラブルに悩まされる一方で、「妊娠後期に入る前に旅行に行こう」と考えるママも多いのではないでしょうか。体調が安定している時に1泊程度の国内旅行をする程度であれば問題ありませんが、海外旅行や長期の旅行はお勧めできません。
旅行先や飛行機での移動中に破水したら大変です。切迫早産・早産のリスクを十分に考えた上で計画しましょう。
逆子を指摘されても心配要らない
妊娠25週あたりの妊婦健診で「逆子ですね」といわれることがあるでしょう。逆子が問題になるのは妊娠28週を過ぎてからです。この時期は胎児の3人に1人は逆子であるともいわれています。赤ちゃんが成長して頭が重くなってくると自然に頭を下にした姿勢に変わります。
むしろ早い時期に逆子を治そうと逆子体操を行っても、胎児は動き続けているのでまたすぐに戻ってしまうでしょう。
ただし、妊娠28週を過ぎて逆子のようなら早めに対策を行うことをお勧めします。
胎児の脳の発達が著しい妊娠26週
妊娠26週の赤ちゃんの身長は35~38cm、体重は750g~1.3kgほどになります。この時期の赤ちゃんの体重は、1ヶ月で約500gずつ増えていくといわれ、成長が目覚ましい時期です。
そのため、赤ちゃんの大きさや体重には個人差が生じます。検診で赤ちゃんが「平均より小さい」「大きい」といわれることがありますが、検査機器や画像の見え方によって1割程度の誤差があります。
赤ちゃんが元気に成長していれば問題はありません。少し小さいからといって気にしないようにしましょう。
妊娠26週になると、赤ちゃんの前頭葉が大きくなり、脳が急成長します。視覚と聴覚の情報を処理する脳波が働き始め、同時に大脳辺縁系の成長も進むので、赤ちゃんは全身のコントロールが可能になり、より緻密な動きをするようになります。
また、鼻孔と肺がより発達を遂げます。羊水を酸素の代わりに吸いこんだり吐いたりして呼吸の練習をしたり、おっぱいを吸えるように唇の神経を発達させたりします。外の世界への適応能力を磨いているといえるでしょう。
妊娠26週ごろに性別が変わることがある
医療技術が進んだ現代でも胎児の性別判定が100%正しいわけではありません。
私の友人はずっと「男の子」といわれていたにも関わらず、妊娠後期に入って「やっぱり女の子」といわれたそうです。「女の子から男の子に変わる」という話は聞いたことがあったのですが、「男の子から女の子に変わる」というケースもあるのかと、とても驚きました。
したがって妊娠初期で性別を聞いても「100%ではない」ということを、頭の片隅に置いておきましょう。また、妊娠26週を過ぎても性別が不明の方もいます。
これ以上週数が進むと胎児の身体が大きくなるため、ますます性器が見つけにくくなり性別が分からないまま出産を迎える可能性もあります。
どちらでも良いように名前は2通り、ベビー服は男女兼用できるものを準備しましょう。
妊娠26週のママはお腹の張りと妊娠糖尿病に注意する
妊娠26週の子宮底長は24~30cmほどで、ママの体型はお腹の下側とウエストのあたりがさらに膨らんできます。
大きくなった子宮は心臓や横隔膜を圧迫し、動悸や息切れを起こすママも多いでしょう。また、お腹の張りや腹痛に悩まされる妊婦さんも増えていきます。中には下痢のような痛みを伴う腹痛を感じる方も多いのではないでしょうか。
お腹の痛みの多くは、便秘や前駆陣痛(陣痛の予行練習のようなもの)が原因です。しかし激しい痛みが続く、あるいは規則的に痛みを感じる場合は何かの病気のサインであったり、本陣痛の可能性があったりします。
安静にして治まらない場合は早めに産院に連絡しましょう。
特に「前置胎盤の疑いがある」といわれている方は注意が必要です。前置胎盤とは、胎盤が通常よりも低い位置に形成され子宮口の一部あるいは全体を覆ってしまう状態のことを指します。妊娠31週までは前置胎盤は自然に治ることが多く、過剰に心配する必要はありません。
ただし前置胎盤の場合、大量出血を伴うことがあるためハイリスク出産に分類されます。前置胎盤の疑いがある妊婦さんで、腹痛や性器出血がみられたときは母子共に危険なのですぐに病院に行きましょう。
また、妊娠26週あたりで気をつけたいのが体重増加です。「つわりで体重が激減した」というママでも、妊娠7ケ月ごろから急激に体重が増えます。「妊娠7ケ月の時点で気づいたら妊娠前のプラス8キロだった……」という方も珍しくありません。実は私もそのうちの一人です。
特にこの時期、注意しなければならないのが妊娠糖尿病です。妊娠中は胎盤からのホルモンの分泌によって、糖質を分解するインスリンの働きが制限され、血糖値が上昇しやすくなっています。
加えて、赤ちゃんのエネルギー源である糖分が最優先で運ばれており、血液中に糖分が増加している状態です。赤ちゃんへ糖分が運ばれた後も血中に糖分が過剰に残っていると、妊娠糖尿病になってしまう危険性が高まります。
「家族に糖尿病患者がいないから大丈夫」「食べ物には十分気をつけているから大丈夫」と思い込むのは危険です。
私の友達はつわりで体重が激減した後、「赤ちゃんのためにも食べないといけない」と食事に気をつけながら食べていたのですが、妊娠7ケ月のときに妊娠糖尿病になってしまいました。
本人も「まさか自分が患うとは思ってもいなかった」と話していました。このように妊娠糖尿病は誰でもかかるリスクがあります。
私も妊娠中期に体重が急増したこと、胎児が大きいことから糖尿病の疑いがあり血液検査をされました。結果、糖尿病ではなかったのですが、それ以降体重管理には十分気をつけました。
妊娠糖尿病は、妊娠高血圧症候群(妊娠中に高血圧になること)や羊水過多(羊水が多い状態であり、切迫早産のリスクを高める)のような母体への悪影響を招く恐れがあります。また、流産や巨大児、赤ちゃんの発育不全などのリスクを高めるといわれています。
体調が安定し、ご飯も美味しく食べられる時期ではありますが、食べ過ぎには注意しましょう。体重増加の目安として「1週間プラス300~500g以内」を目安にしましょう。
妊娠27週の赤ちゃんは20分間隔で寝たり起きたりを繰り返している
妊娠27週の赤ちゃんの身長は38~40cm、体重は750g~1.3kgくらいになります。
胎児は皮下脂肪が増えてややふっくらする一方で、筋肉が発達して力を入れて手を握ることもできるようになります。また、舌の上と頬の内側にある、味を感じるための器官「味蕾(みらい)」が発達し、甘みや苦味をますます感じられるようになっています。
さらに、この時期の胎児は既に明暗の区別が出来るようになっています。妊娠27週ころの赤ちゃんにお腹の外から強い光を当てると、顔をそむける仕草をすることが確認されています。
「それなら昼と夜の区別はお腹の外の明るさで判断しているのか」と考えるママがいらっしゃるでしょう。しかしそれでは、部屋の明るさは昼でも夜でも明るいことで多くの赤ちゃんは混乱してしまいます。
夜になると、胎児はママの体内で放出される眠気を導くホルモン「メラトニン」を感じ取って昼夜を区別しているといわれています。
ただ、妊娠27週ころの赤ちゃんはママの睡眠サイクルとは異なり、だいたい20分間隔で寝たり起きたりを繰り返しています。ちなみに、胎児の睡眠時間は20時間くらいだと考えられています。
妊娠27週のママが気をつけたい外陰部のトラブル
妊娠27週の子宮底長は24~33cmと1週間でまた少し大きくなります。胃への圧迫感はさらに増し、消化不良や胃酸の逆流を起こしやすくなるため、胃痛や胸焼けを感じるママも多くなります。このように胃酸が上がり食道に炎症が生じることを「逆流性食道炎」と呼びます。
胃酸は強い酸性なので食道の粘膜がただれてしまうのです。薬を服用することで症状を和らげることができますが、食生活を改善することが大切です。「よく噛む、少量ずつ食べる、消化のいいものを摂る、スパイシーな食品など刺激物を避ける」といった対策をとりましょう。
また、この時期は身体が非常にむくみやすくなります。お腹が大きくなって血行が悪くなることや、ホルモンバランスの変化が主な原因です。
中には「むくみがひどいため歩くことすら辛い」という方もいらっしゃいます。むくみには、下半身の血行を良くするためにふくらはぎを揉む、寝るときに足の位置を少し高くして寝る、といった対策が効果的です。
そして妊娠27週のママは膣炎に注意が必要です。この時期からおりものの量が多くなるため膣炎にかかりやすくなります。膣炎の中には分娩時に赤ちゃんに感染してしまい、生後に皮膚炎といった症状が出ることがあるので注意が必要です。
排尿痛や陰部のかゆみを感じたら、必ず病院で診てもらうようにしましょう。その他、性器の感染症として気をつけなければならないのがクラミジア感染症です。出産時に産道で赤ちゃんに感染すると肺炎や結膜炎を引き起こす可能性があります。
また、おりものの増加と膀胱に尿が残りやすいことから細菌が増殖しやすい状態になり、膀胱炎にかかりやすくなります。
子宮が膀胱を刺激するため頻尿になりやすいですが、決してトイレを我慢しないこと、外陰部を清潔に保つことが重要です。排尿痛や尿が白く濁っている場合は膀胱炎の可能性があります。
外陰部に異変を感じたときは放置せず、早めに医師に診てもらいましょう。
まとめ
お腹の中で赤ちゃんが元気に成長するのはうれしい反面、胸焼けや胃酸の逆流で「気持ち悪い」と感じたり、突然訪れるお腹の張りや様々な身体の痛みに悩まされたりするママも多いでしょう。
妊娠7ケ月は胎児に口唇口蓋裂やダウン症といった異常が見つかったり、母体では妊娠糖尿病・前置胎盤・逆流性食道炎・膀胱炎といった病気を患ったりする可能性があります。
その他、破水・早産・切迫早産といったリスクが常にあるため、ママは気を緩めることができません。
しかし妊娠後期まであと1ケ月です。これからもお腹が大きくなることで更にマイナートラブルは増加しますが、上手く乗り越えていきましょう。