妊娠初期の段階で、赤ちゃんの神経管が作られます。このとき葉酸が不足すると、二分脊椎や無脳症など神経管閉鎖障害のリスクが高まります。この事実について、2002年から母子手帳にも記載が始まりました。

この中で厚生労働省は妊娠を計画するときから、体内での吸収率が高いモノグルタミン酸型の葉酸(葉酸サプリメント)の摂取を推奨しています。そのため多くの妊婦が、妊娠初期には意識して葉酸サプリメントを飲んでいます。

しかし、産後も葉酸が必要であることをご存知でしょうか。母乳育児をするならなおさらです。さらに出産後の葉酸摂取には、抜け毛や産後うつを防ぐ効果もあります。

そこで今回は、「なぜ産後に葉酸サプリメントが必要なのか」「摂取量はどのくらいで、いつまで飲めば良いのか」について具体的に解説します。

造血ビタミンの葉酸が母乳の出に効果的

母子手帳には、葉酸について以下のような記載があります。

葉酸を摂りましょう

妊婦の健康と胎児の健全な発育のためには、多様な食品を摂取することにより栄養のバランスを保つことが必要です。二分脊椎などの神経管閉鎖障害の発症を減らすためには、葉酸の摂取が重要であることが知られています。

葉酸は、ほうれんそう、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や、いちご、納豆など、身近な食品に多く含まれています。日頃からこうした食品を多くとるように心がけましょう。

このような母子手帳の記載により、葉酸を意識する妊婦は多いです。しかし母乳育児の面でも、葉酸が重要です。

母乳は何から作られるか、知っているでしょうか。とても不思議ですが、母乳は血液から作られます。毛細血管からタンパク質や白血球などの栄養素を取り込むことで、母乳が作られます。ただし血液が母乳に変わるとき、赤い色の元である赤血球は取り込まれないため色は乳白色になります。

そして血液が作られるとき、葉酸が必要です。そのため葉酸は、「造血ビタミン」とも呼ばれています。葉酸が不足すると、正常な赤血球が作られず母乳の出にも影響を与えてしまいます。さらに母乳の出が悪いと赤ちゃんへの栄養が不足し、発育にも影響が出るため注意が必要です。

母乳育児は外出の際、ミルクの準備をする必要がなくとても楽です。また夜の授乳も寝たままできるので、本当に助かります。何より母乳には100種類以上の栄養素が含まれており、赤ちゃんに最高の免疫力をプレゼントすることができます。

ただし母乳の出には個人差もあるため、母乳が出なくても焦らないことが大事です。その点について母子手帳にも、以下のような記載があります。

母乳が出なくてもあせらずに

新生児には母乳が第一です。母乳栄養は赤ちゃんの病気を防ぎ、赤ちゃんとお母さんのきずなを強くします。また、かむ力の発達に大切です。

特に初乳は赤ちゃんが初めて口にする食物としてかけがえのないものですから、ぜひ与えたいものです。母乳が出ないようでも、あせらずに、赤ちゃんが欲しがるにまかせて根気よく吸わせていると出るようになります。母乳の出をよくするためには、お母さんがバランスのよい栄養と休息をとることも大切です。

授乳中はテレビなども消して、ゆったりした気持ちで赤ちゃんと向き合いましょう。

「ゆったりとした気分で授乳し、根気よく吸わせていると母乳が出るようになる」というのは本当です。実際に私も初産婦のときは授乳に慣れていませんし、赤ちゃんの吸い方も上手ではありませんでした。

そのため私は栄養面では葉酸サプリのサポートを受けながら、授乳の回数を増やしていきました。すると、間もなく母乳育児が軌道に乗り始めました。

入院中の生後5日目は、混合栄養でした。しかし生後16日目には、母乳のみで大丈夫になりました。これは葉酸サプリメントで栄養を摂り、ゆったりとした気持ちで過ごしていたおかげだと思います。

健診で赤ちゃんの体重も増え良好だと分かったので、卒乳まで母乳のみで育てました。ただし授乳中はとても疲れやすいため、睡眠をしっかり取ることや葉酸サプリメントの摂取を欠かしませんでした。

これから生まれてくる赤ちゃんを母乳で育てる際、母乳の出を良くするために造血ビタミンである葉酸が必要であることを知っておくといいです。

産後の母乳育児は食べ物と併用して、葉酸サプリの活用がおすすめ

産後は、母乳を通じて赤ちゃんに栄養が届けられます。そのため葉酸以外にも様々な栄養素が必要です。母子手帳には厚生労働省が作成した「妊産婦のための食事バランスガイド」が記載されています。

「この食事バランスガイド」には、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つの項目において、授乳中に必要な食事の目安が上図のように載っています。

ただ妊娠中に比べて、授乳中はさらに付加量(通常よりも多く摂る必要がある栄養量)が必要です。多くの妊婦は、これから生まれてくる赤ちゃんのために栄養を摂ろうと意識します。一方で産後は、自分の食事などが後回しになることも多いです。しかし一番栄養を摂るべき時期は、産後である授乳中なのです。

産後は買い物に出かけるのも、ひと苦労です。そのため私は出産後に食材の宅配を利用していましたが、そもそも調理に時間をとることができません。そのため当時は、簡単なメニューで乗り切ることが多かったです。

このときに役立ったのが大豆です。「畑の肉」とも呼ばれ栄養が豊富な大豆は、まとめて圧力鍋で煮ておいて様々なメニューに活用していました。大豆にはタンパク質のほか、以下のような栄養素が含まれています。

  • 脂質
  • 炭水化物
  • 食物繊維
  • カリウム
  • カルシウム
  • マグネシウム
  • 亜鉛
  • ビタミンE
  • ビタミンB1
  • 葉酸など

しかもコレステロールは全く含まれていません。さらに大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きを示します。そのためホルモンバランスが変化する産後は、特に意識して摂っていました。

その大豆を使って、産後は切って煮るだけの簡単なスープを度々作っていました。

以下に、そのレシピを紹介します。

【材料】

  • 大豆(ゆでたもの)80g
  • トマト140g
  • 玉ねぎ120g
  • 水4カップ
  • 固形スープの素1個
  • 塩小さじ1/6
  • こしょう少々
  • パセリ適宜

【作り方】

  1. トマトと玉ねぎは1cm角に切る。パセリはみじん切り。
  2. 鍋に固形スープの素と水を入れて、中火にかける。煮立ったら玉ねぎを加える。再び煮立ったら、大豆とトマトを入れ、弱火で4~5分煮る。
  3. 塩、こしょうで味を調えて、火を止めてパセリを加える。

上記のレシピでは、1食あたりカルシウム44mg、鉄分0.9mgを摂ることができます。またゆでた大豆には、多くの葉酸(100gあたり260μg)が含まれています。

産後は慣れない育児に忙しく、このような簡単な食事しか作ることができませんでした。料理をゆっくり作る時間はおろか、食事も落ち着いて摂れない場合も多いです。今となっては過去の短い期間のことですが、産後はどうしても自分のことが後回しになってしまいます。

そのため授乳中に必要な栄養素を補うために、食事と併用して産後も葉酸サプリを飲んでいました。そのおかげもあって栄養を効率よく摂ることができ、貧血もなく母乳育児もスムーズでした。ちなみに産後、病院では念のため粉ミルクを用意するように言われていましたが、ほとんど使わなかったため友人にあげました。

葉酸サプリメントを活用しておけば、葉酸必要量を補えるので「料理が簡単になっても大丈夫!」と思えるようになります。私の場合は食ベ物と併用して葉酸サプリを摂ることで、母乳育児も順調でした。産後も赤ちゃんと自分自身のために、ぜひ葉酸サプリメントを活用してみて下さい。

授乳中は貧血予防に「鉄分を含み、母乳育児を助ける葉酸サプリ」を選ぶ

さて葉酸サプリには、具体的にどのような栄養素が含まれているのでしょうか。「葉酸」とネーミングされているため、葉酸のみが強調されているイメージが強いです。

しかし妊婦用に作られた葉酸サプリメントは、妊娠、出産、そして授乳期に必要な栄養素を網羅しています。さらに妊婦用の葉酸サプリメントには、血液の原料となるビタミン類がきちんと含まれています。例えばベルタという葉酸サプリメントの成分は以下の通りです。

乾燥酵母、葉酸含有酵母、もろみ酢粉末、ミネラルイースト、ヨウ素含有酵母、卵殻膜粉末、燕の巣加工品、馬プラセンタエキス末、フィッシュコラーゲン、乾燥野菜粉末(大麦若葉、ケール、ブロッコリー、キャベツ、大根葉、かぼちゃ、さつまいも(紫芋)、チンゲン菜、パセリ、人参、セロリ、苦瓜、ほうれん草、桑の葉、モロヘイヤ、よもぎ、白菜、アスパラガス、トマト、野沢菜、れんこん)、ナンノクロロプシス、乳酸菌末、微細藻由来DHA・EPA油/貝殻末焼成カルシウム、セルロース、ピロリン酸、第二鉄、ステアリン酸Ca、ビタミンC、クエン酸、リン酸カルシウム、ラクトフェリン、ビタミンB6、ビオチン、サンゴカルシウム、β-カロテン、ヒアルロン酸、葉酸、抽出ビタミンE、ナイアシン、パントテン酸Ca、酸化防止剤、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンA、ビタミンD3ビタミンB12

【鉄】ヘモグロビンを作る

【ビタミンC】鉄分の吸収を助ける

【葉酸、ビタミンB12赤血球を作る

体は血液中のヘモグロビンを一定に保つために、妊娠時は貯蔵鉄(フェリチン)を使います。しかし妊娠前の貯蔵鉄が少ない場合、産後の授乳で貯蔵鉄は減少し、貧血になりがちです。貧血になると、だるさなどの慢性的な体の不調だけでなく、母乳の出や赤ちゃんの発達にも影響を与えてしまいます。

その点、葉酸サプリメントでは血液を作るのに必要な栄養素をしっかり摂ることができます。野菜の栄養もたくさん摂れるため、これについても便利です。

21種類もの野菜の栄養素が摂取できることは、それだけ毎日の食事で頑張って野菜を食べることを意識しなくてよいことを意味しています。

ただし葉酸サプリメントであれば、どのような商品でも良いわけではありません。産後は母親の血液から作られる母乳を介して、赤ちゃんに栄養を届けることになります。

そのため貧血を予防し、質の良い血液を作るサプリメントを選ぶことが大切です。したがって赤血球を作る葉酸、ビタミンB12、鉄分、さらに鉄分の吸収を高めるビタミンCを含むサプリメントを選ぶことがポイントです。そして前述のような妊婦用のサプリメントであれば、それらを効率的に摂ることが可能です。

一方で、ドラッグストアに置いてある葉酸サプリメントの成分はどうでしょうか。この場合、以下のような原材料になります。

鉄分とその吸収を助ける、ビタミンCが配合されていません。また糖分が多く、糖分過多になる懸念があります。さらに安全性の確認できていないセルロースやショ糖脂肪酸エステルも含まれています。

前述の妊婦用の葉酸サプリは1ケ月あたり4533円、上記のドラッグストアのものは950円です。値段の差は約5倍になります。母乳育児をサポートする成分を網羅した高品質なサプリメントの場合、それだけ値段も上がってしまいます。

しかし逆に言えば安価なものはその分、低品質であるといえます。

ドラッグストアで売られているサプリメントは、手軽に摂取できることが利点です。しかし残念ながら、成分を確認すると授乳中におすすめできる商品はありませんでした。産後は口にしたものが、母乳を介して直接赤ちゃんにも影響することを忘れてはいけません。

授乳中は血液を作るのに関わる鉄分、葉酸、ビタミンB12、ビタミンCを含み、余計な添加物のない高品質のサプリメントを必ず選ぶようにして下さい。

葉酸サプリが産後うつを予防し、赤ちゃんとの生活にゆとりをもたらす

母乳育児を強力にサポートしてくれる高品質の葉酸サプリメントは、初めての育児にも心強い存在です。さらに葉酸サプリがおすすめなポイントがあります。葉酸サプリメントに含まれる栄養素が「産後うつ」も予防してくれるのです。

産後はホッとしたのも束の間、赤ちゃんとの慌ただしい生活がスタートします。私の住んでいる地域では産後間もなく、保健師さんが訪ねてくれます。以下のように、実際に家まで来てくれて母子手帳に記してくれました。

その際、産後うつのお話を聞きました。そして驚くことに、2割程度の方が産後うつになるそうです。

そのきっかけは、やはり睡眠不足による体の疲れが関わっています。私も産後は、2〜3時間おきの授乳により睡眠不足が続きました。また初めての育児の場合は、なぜ赤ちゃんが泣いているのか、どうしたらいいのかなど右往左往することがあり、悩んでしまうことも多いです。

また、うつの原因には栄養素の不足とも関係があります。国立精神・神経医療センターの功刀浩(くぬぎひろし)先生によると、うつ病に関連すると考えられる栄養素は以下の通りです。

【EPA、DHA】

  • イワシ
  • サンマ
  • サバなど

魚の摂取が多い国はうつが少ないという報告がある。

【ビタミンB6

  • カツオ
  • マグロ
  • レバー
  • バナナ
  • サツマイモなど

アミノ酸やDNAの合成に必要不可欠なビタミンで、不足し代謝異常がおこるとホモシステインが高まりうつ病のリスクを高める。

【ビタミンB12

  • レバー
  • サンマ
  • 貝類など

ビタミンB6と同じ働きをする。うつ病リスクとの関連が報告されている栄養素。

【葉酸】

  • 葉物野菜(ほうれん草、菜の花など)
  • 枝豆
  • レバーなど

血中の葉酸濃度や葉酸の摂取が少ない人は、うつ病リスクが1.4倍に高まる。葉酸が一番不足しやすい。

【鉄】

  • レバー
  • 海藻
  • 緑黄色野菜
  • 納豆など

不足すると疲れやすくイライラして、興味・関心・集中力の低下につながる。

【亜鉛】

  • カキ
  • ウナギ
  • 牛肉
  • レバー
  • 小麦胚芽
  • 種実類など

神経伝達物質の受容体活性化に影響が出るため不足すると、うつ症状が起こる。

【メチオニン】

  • 牛乳
  • 牛肉
  • レバー
  • 全粒小麦など

うつの症状を改善する

【トリプトファン

  • 牛乳
  • チーズ
  • 大豆製品
  • 種実類
  • バナナなど

精神を安静させるセロトニンの原料になる。

【チロシン】

  • チーズ
  • 大豆製品
  • しらす
  • ピーナッツなど

アドレナリンやドーパミンなど意欲に関わる物質の原料になる。

中でも食品に含まれる葉酸は体内に吸収される過程で、吸収率が半減する性質があります。そのため、欠乏しやすいビタミンの一つだといわれています。

一方で葉酸サプリメントに含まれるモノグルタミン酸型の葉酸であれば、体内でほぼ100%吸収されます。そのため、確実に葉酸を摂取できます。さらに妊婦用の葉酸サプリメントには、産後うつの予防に役立つ栄養素がすべて網羅されています。

産後は、なかなか自分の時間を確保することが難しいです。そこでサプリメントで効率よく栄養素を摂ることは、とても賢い選択です。

実際に私は、産後も「葉酸サプリを飲んでいるから大丈夫!」という気楽な気持ちで過ごしていました。そのため、母乳の出をよくするために「栄養を摂らなくてはいけない!」と焦る気持ちをもつことなく、育児を楽しむことができました。

上記は産後間もない頃の私の母子手帳です。「子育てについて困難を感じることがありますか」との問いに対して、「いいえ」と答えています。そしてメモ書きには「子育てが楽しい今日このごろです」とあります。当時は「料理できないときがあっても、サプリメントで栄養を補うことができる」くらいの気持ちで、ゆったりと過ごしていました。

葉酸サプリメントを活用することが、育児を楽しむゆとりにつながったと思っています。その結果、産後うつも予防できたのは本当にありがたいことです。

産後に効果あり!抜け毛予防にも葉酸サプリがおすすめ

造血作用のある葉酸は、母乳の出や産後うつに効果があるだけではありません。産後の抜け毛も予防してくれるのです。

産後はホルモンバランスが変わるため、脱毛が気になる場合があります。実際に産後の友人に会ったとき、髪の毛が少なくなっているのに気がついたことがあります。

妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが大量に分泌されます。特に妊娠中は、プロゲステロンが優位になります。

このプロゲステロンには、髪の毛の成長を助けたり脱毛を防いだりする働きがあります。そのため、妊娠中は髪の毛が抜けにくくなっています。ところが産後は女性ホルモンの分泌が、一気に減ります。その結果、妊娠中に脱毛しなかった髪の毛が抜けてしまうのです。

したがって産後の脱毛は、ある程度は仕方がないことです。一般的には産後2ヶ月頃から髪の毛が抜け出して、半年頃には落ち着くことが多いです。そのため、過剰に心配する必要はありません。

ただし抜ける量が気になる場合は、ホルモンバランスの影響以外に原因があるかもしれません。その際、考えられるのが頭皮の血行不良です。髪の毛は毛細血管から栄養素や酸素を受けとって生えています。

しかし血行不良により栄養などの供給が滞ると、髪の毛の成長に影響を与えてしまいます。つまり抜け毛を防ぐには、きれいな血液が必要なのです。このとき、造血ビタミンである葉酸を摂ることで赤血球の形成が促され、抜け毛を予防することができます。

また髪の毛の99%を構成するタンパク質や、健康な髪を作り成長を促すビタミンB2、わかめ・ひじきなどの海藻に含まれるミネラルも必要です。その点についても葉酸サプリメントには、これらの栄養素が網羅されているため重宝します。

摂り過ぎはある?授乳中の葉酸サプリメントの必要摂取量について

では葉酸サプリは、授乳中にどのくらいの量が必要なのでしょうか。日本人の食事摂取基準(2015)によると、葉酸の推定平均必要量は18歳以上の女性の場合で1日200μgです。それに加えて授乳中は100μgの葉酸をプラスして摂ることが推奨されています。つまり1日あたり300μgの葉酸が必要であり、これは一般女性の1.5倍にあたります。

では前述のベルタ葉酸の場合、授乳中は何粒飲めば良いのでしょうか。成分表示を見ると、1日あたり4粒で、妊婦が1日に必要な葉酸400μgを摂ることができるようになっています。

つまり1粒で100μgの葉酸を摂ることが出来るため、授乳婦は3粒(300μg)でOKです。しかし、仮に400μg摂取しても心配はありません。なぜなら葉酸は水溶性のビタミンであり、体内に蓄積しないからです。要は不必要な分は、尿として体外に排出されるのです。授乳中は3〜4粒(300μg~400μg)を目安にして飲むと良いです。

ただしサプリメントは手軽に摂ることができるため、過剰摂取には気をつけましょう。厚生労働省では、葉酸の耐用上限摂取量(リスクをゼロとする値)を1日1000μgと設定しています。大抵の葉酸サプリメントは、1日あたりの必要量を400μgとしています。そのため1日あたりの摂取量を守れば、耐用上限量を超えることはありません。

飲み方は1日分を何回かに分けて、常に一定量を摂る方法がおすすめです。なぜなら葉酸は1度にたくさん摂っても必要ないものは尿として排出されるからです。なお、さらに吸収率を高めるには、空腹時が良いです。しかし私は飲み忘れを防ぐために毎食後、1粒ずつ飲むことを習慣にしていました。

葉酸サプリの摂取は、「授乳のために栄養素を摂らないといけない」という精神的な負担の軽減につながります。産後も1日300μgを目安に記載された摂取量の範囲内で、上手に葉酸サプリを活用することをおすすめします。

いつまで飲む?産後の葉酸サプリ活用法

では葉酸サプリメントは、いつまで飲めば良いのでしょうか。1つの目安は授乳を終えるまでです。授乳中は母乳の出を良くするために、どうしても葉酸を始めとする栄養素が必要です。したがって授乳中は赤ちゃんの健全な発育のためにも、しっかり栄養素を補うことが大事です。

一方で葉酸サプリメントは、妊婦はもちろんのこと授乳中以外の人にも役立ちます。葉酸の主な働きは、以下の通りです。

  • 細胞分裂を助ける
  • DNAの合成
  • 肺がん・直腸がん・子宮頸がんを予防する
  • 傷口が早く治る(口内炎など)
  • 痛風・腎臓結石・関節炎の予防と改善
  • 心の病の予防と改善
  • 認知症の予防
  • 歯周病の予防
  • 造血作用

このような多岐にわたる葉酸の働きは、あらゆる年代の人に重要です。

そのほか、葉酸が不足すると「神経毒」といわれるホモシステインが体内に溜まり、高ホモシステイン血症になります。さらにこの状態を放っておくと、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中を引き起こす要因にもなってしまいます。そのため葉酸は生活習慣病が気になる世代には、特に大事な栄養素といえます。

したがって授乳中までを1つの区切りとして考え、あとはご自身の健康維持のために上手に葉酸サプリを活用すると良いのではないでしょうか。

例えば、私の夫は必要に応じて葉酸サプリメントを摂取しています。仕事柄、外食が多く食事も不規則だからです。葉酸サプリを車に常備しておいて「野菜が不足したな」というときに、調整しながら飲んでいます。忙しくて食事がままならないときにうまく使えば、葉酸サプリメントは体調管理にとても便利なものです。

サプリメント会社でも、いつまで飲むかという質問に対しては「医薬品ではないため、(必要に応じて)飲み続けて構いません」と回答しています。

妊婦用の葉酸サプリメントは、添加物や安全面に最大限の配慮がなされています。したがって授乳を終えるまで飲み続け、その後はあなたの必要性や家族の状況に応じて、年齢問わず活用する方法がおすすめです。

まとめ

葉酸は、造血に関わるビタミンです。そのため葉酸が不足すると赤血球がうまく形成できず、母乳の出に影響が及んでしまいます。そのことが赤ちゃんの発育にも関わってくるため、産後も葉酸サプリを摂取することがとても大事です。

産後に2割程度の人が、うつになる傾向にあります。産後うつの原因の1つに、栄養不足があります。葉酸サプリメントには産後うつを予防する栄養素も網羅されています。またバランスの良い食事を摂ることが難しいときも、サプリメントで栄養を補うことができます。

さらに葉酸のもつ造血作用が頭皮の血行を助け、産後の抜け毛を予防します。

ただし、「葉酸サプリメントであれば、どのような商品でも良い」というわけではありません。特にドラッグストアに売られている葉酸サプリには、糖分やその他の余計な添加物が含まれているため授乳中にはおすすめできません。造血に関わる葉酸、ビタミンB12、鉄、ビタミンCを含み、なおかつ余計な添加物の入ってない商品を選択する必要があります。

摂取量は1日300μgを目安とし、厚生労働省が定める耐用上限摂取量1000μgを越えないように留意します。葉酸は、過剰摂取した分が尿として排出されるため、1日分の葉酸サプリを分けて飲む方法がおすすめです。

このとき授乳期を終えるまで継続して飲むことを目安とし、あとはご自身や家族の必要性に応じて活用してみて下さい。ここまで述べたことを意識して、産後についても葉酸サプリメントを活用するといいです。