妊娠初期に形成される赤ちゃんの神経管が正常に作られるのを葉酸は助けます。また造血ビタミンとして授乳中には母乳の出を良くしたり、疲労回復の役割も果たしたりします。そのため妊娠・授乳期において、必要不可欠な栄養素です。

葉酸は「葉」と表すため、ほうれん草などの葉物野菜に多く含まれていると考える人は多いです。しかしほうれん草よりも、多くの葉酸を含む野菜があります。それがブロッコリーです。

さらにブロッコリーには葉酸以外の栄養素も豊富に含まれるため、妊娠中に積極的に食べてもらいたい野菜の一つです。

そこで今回は、ブロッコリーの葉酸含有量や茹で方、レシピなどブロッコリーの魅力について解説していきます。

ほうれん草より実は多い!ブロッコリーの葉酸含有量

ブロッコリーは、お弁当を始めとする様々なメニューの付け合せに大活躍の野菜です。旬は11~3月ですが、夏に収穫できる品種も出回っており、1年を通じてスーパーで見かけます。

では具体的にブロッコリーには、どのくらいの葉酸が含まれているのでしょうか。

食品の栄養量を調べるには、文部科学省の食品データベースがとても便利です。データベースのキーワード欄に調べたい野菜名などを入力すると、簡単に栄養素を調べることができます。これによると、ブロッコリーの葉酸量は以下の通りです。

【ブロッコリー100g当たりの葉酸含有量】

  • ブロッコリー(生):210μg
  • ブロッコリー(茹で):120μg

写真の量のブロッコリー(茹で)が、ちょうど100gです。

生よりも茹でた方が、大幅に葉酸の量が少ないです。これは、葉酸の性質によるものです。葉酸は水溶性のビタミンであるため、水に溶ける性質があります。また加熱にも弱いため、茹でることで葉酸が消失しまうのです。

それでも100g当たり120μg の葉酸が含まれているのは、かなり優秀です。なぜならほうれん草100 g 当たりの葉酸含有量(110μg)より多いからです。このような事実を知らない人は、たくさんいるのではないでしょうか。

そのほかブロッコリー(茹で)には、以下のような栄養素が入っています。

  • カルシウム180mg
  • マグネシウム17mg
  • リン66mg
  • 鉄0.7mg
  • 亜鉛0.3mg
  • 銅0.06mg
  • ビタミンC54mg
  • ビタミンK150μg
  • 食物繊維3.7g

これらはすべて、妊婦に重要な栄養素です。葉酸やそのほかの栄養摂取のため、妊娠中にブロッコリーを上手に活用していきましょう。

このとき、茹でたものよりも生の方がより葉酸が多いとはいえ、生食はおすすめしません。理由は生食をした場合、人体に影響を与える成分(ゴイトロゲン)がブロッコリーには含まれているからです。ゴイトロゲンはブロッコリーのほか、アブラナ科のカリフラワーやキャベツなどに含まれる天然の成分であり、ホルモンの分泌を減らす作用があります。

さらに生食は、栄養を吸収する際に胃腸に負担がかかってしまう可能性もあります。ブロッコリーは茹でても十分な葉酸が含まれているため、きちんと茹でて食べることをおすすめします。

冷凍もOK!茎も食べるブロッコリーの茹で方

ブロッコリーを手に入れたら、なるべく早いうちに茹でるようにしましょう。ブロッコリーはそのまま置いておくと2〜3日でしなびたり、蕾が開いて黄色く変色したりしてしまいます。

またブロッコリーに限らず、野菜は時間を置けば置くほど栄養価が減っていきます。したがってできるだけ早く茹でて、下処理することがおすすめです。

【ブロッコリーの茹で方】

1.ブロッコリーを房から外して、適当な大きさに切る。このとき火の通りを均一にするために、同じ大きさに切リ揃えるようにする。


2.茎の皮は固いため、厚く切り落とすと芯の部分も美味しく食べることができる。


3.お湯を沸騰させ、塩を多めに入れる。そうすることでブロッコリーに適度な塩味がつき、ドレッシングがなくてもおいしく食べることができる。好みの固さになるまで茹でる。


4.ザルの上にあげて、そのまま冷ます。

茹で終わったあと水にさらすと葉酸が溶け出してしまうため、そのままザルに上げるようにすると良いです。ただし水にさらさない分、ザルに上げてからも加熱は進むため、若干固めに茹でるようにします。ブロッコリーの葉にも葉酸が含まれているため、あれば一緒に茹でると美味しく食べることができます。

具体的な茹で時間については、20秒程度がおすすめです。このくらいの時間だと、やや歯ごたえが残る感じです。固めの食感が好みの方やほかの料理に使い回す場合にちょうど良いです。芯がない方が良い人は、30秒を目安にして下さい。

ただし茹でれば茹でるほど、葉酸は水の中に流出していきます。葉酸は加熱や水に弱いため、過剰な茹で時間はかけない方が良いです。

美味しく茹だったブロッコリーは、ひと房でもあっという間になくなってしまうのではないでしょうか。しかしたくさん頂いたり残ったりした場合は、冷凍も可能です。

冷凍する場合は固めに茹で、水分をペーパーで丁寧に拭き取ることがポイントです。水分が付いていると、解凍したときに水っぽくなってしまう要因になります。水分を拭いた後、冷凍用の袋で約1ケ月ほど保存ができます。

ただし冷凍すると、栄養は約半分まで落ちてしまいます。したがって栄養面からいえば、冷凍せずに食べた方が良いです。

茹でたブロッコリーをスープなどのレシピに使い回す

ちなみに茹でたブロッコリーも水分をきちんと取っておけば、冷蔵庫で2~3日はもちます。茹でたブロッコリーは冷蔵庫にストックしておくと、使いまわしが利くためとても便利です。

具体的には、次のような使い方ができます。

  • シチューやスープの具材にする
  • 揚物に添える
  • お弁当の隙間を埋める
  • スパゲッティーやカレーに添える

ブロッコリーは洋食のメニューであれば、基本的に何でも合います。または和食でも胡麻和えなどは、とても美味しいです。

【ブロッコリーの胡麻和えの作り方】

  1. 胡麻を炒って、すり鉢で香りが立つまで擦る。
  2. 醤油を加えて、衣を作る。
  3. 食べる直前に、衣と茹でたブロッコリーを和える。

胡麻の代わりに、練り胡麻やクルミで代用しても美味しいです。和え衣には、好みで砂糖やみりんを加えても良いです。

しかし妊娠中は、糖分摂取に制限がある人もいるかもしれません。そんなときも、しっかり擦った胡麻に醤油を加えただけで、十分美味しくいただけるのでぜひ試してみてください。

ブロッコリーの欠点をカバーする葉酸サプリ活用のすすめ

このように栄養価も豊富で使い回しも効く、とても便利なブロッコリーですが、欠点もあります。それは季節によっては、値段に変動があるということです。

独立行政法人農畜産業振興機構では、野菜の平年値や価格推移をみることができます。これによると2018年のブロッコリー(東京都)1kg当たりの平均価格は、3月が503円なのに対し、1月は943円になっています。

ブロッコリーに限らず、野菜はどうしても季節変動の影響を受けるため、時期によっては価格が高騰することも多いです。

例えば近所のスーパーでは、2月で一株当たりが200円程度でした。しかし私の住む地方でも値段が高い時期になると、一株当たり300円近くまで上がってくることも珍しくありません。

ちなみに写真の右側にある「はなっこりー」は、ブロッコリーが品種改良された地元の野菜です。そのほかスーパーにはブロッコリーの新芽である「ブロッコリースプラウト」もあります。

ブロッコリースプラウトにも、100g当たり74μgの葉酸が含まれています。値段は1パック30gでおよそ100円ほどです。手軽に生食できるのが利点です。しかし仮に妊婦が1日に必要な葉酸400μgをブロッコリースプラウトで補おうとすると、18パック食べる計算になります。

ブロッコリー同様、経済的でなければ続けて食べることは難しい場合も多いです。その点を効率良くカバーしてくれるものとして、葉酸サプリがあります。

例えばベルタという葉酸サプリは、以下のようにブロッコリーを始めとするたくさんの野菜(キャベツ、大根葉、南瓜、サツマイモ、チンゲン菜、パセリなど)が入っています。

このようにたくさんの野菜を安定した価格できちんと摂ることができるのは、サプリならではの良さです。そしてベルタ葉酸の場合、妊婦が1日に必要な葉酸を4粒で賄うことができます。

また厚生労働省も、葉酸サプリを利用するよう呼びかけています。なぜならサプリメントに含まれている葉酸は、あらかじめ小腸で吸収されやすいモノグルタミン酸型になっているからです。一方でブロッコリーなどの食品に含まれる葉酸(ポリグルタミン酸型)は、体の中で吸収される過程において吸収率が半減することが分かっています。

その点、サプリメントに含まれる葉酸の吸収率はほぼ100%です。そのため食品と併用して、葉酸サプリを活用することで効率よく葉酸を摂ることが可能です。さらに高品質の葉酸サプリメントには、妊娠中に必要な以下のような栄養素がたくさん含まれています。

特に妊婦用のサプリメントでは、貧血予防や美容にも配慮されていることが多いです。また当然のことながら、安全面にも十分配慮されています。

たくさんの野菜を買うことを考えるとサプリメントはある意味、経済的な側面も持っています。また栄養素を食事のみから摂るストレスを考慮すると、食べ物と併用して葉酸サプリも上手に活用することは、とても賢い選択だといえます。

まとめ

ブロッコリー(茹で)100gには、120μgの葉酸が含まれています。これは、ほうれん草よりも多い量です。食べるときは、人体に影響を与える成分(ゴイトロゲン)を排除するために、茹でて食べることをおすすめします。

食べきれない分は冷凍もできますが、栄養価が半減するため茹でて冷蔵庫で保管し、2〜3日以内に食べる方法がおすすめです。

ただしいくら葉酸が多いからとは言え、ブロッコリーのみから葉酸を摂ろうとすると経済的ではありません。またブロッコリーを始めとする、食品のみから葉酸を摂ることがストレスにつながる場合もあります。

妊婦用のサプリメントには妊娠中に必要な栄養素が網羅されている上、あらかじめ吸収されやすいモノグルタミン酸型の葉酸になっています。さらに添加物や製造過程の安全対策も施されている商品を選ぶと安心です。

ブロッコリーなど葉酸を豊富に含む食品と併用して、妊婦用に作られた葉酸サプリメントも上手に活用してみましょう。