妊娠3ヶ月は体調の波が激しいときです。

つわりがピークを迎え、ママにとって辛い時期でしょう。しかし妊娠3ヶ月は赤ちゃんの心音が確認できたり、エコー検査で胎児らしい姿が見られたりと、それまでお腹の中に生命が宿っているという感覚が無かったママも、少しずつ「妊娠している」という実感が湧いてきます。

また、妊娠10週を過ぎると流産する確率がグンと低下します。流産の心配から少しは解放されるでしょう。

ここでは妊娠3ケ月のママと胎児の身体の変化について、週数毎にみていきます。

妊娠8週ころの検診では心拍・卵黄嚢の確認、HIVの有無を調べる

妊娠8週以前の超音波検査では赤ちゃんの心音が聞こえなかったり、超音波検査をしても何も見えなかったりすることがあり、不安な気持ちを抱くママは多いです。

妊娠8週の検診では以下のような項目を確認します。

  • 心拍の確認
  • 卵黄嚢の大きさを確認
  • CRLを測定して予定日を計算する
  • HIV検査

それぞれ詳しくみていきましょう。

・心拍の確認

妊娠8週から心拍(心臓の動き)がはっきり見えるようになります。

このとき、超音波で心音を聞くことも可能です。私もこの頃に「ドッドドッ」といった赤ちゃんの力強い心臓の音を初めて聞いて、お腹の中に小さな生命が宿っていることを実感し、感激したことを覚えています。

中には心拍の確認ができず、「流産したのではないか」と心配になる方もいます。

ただ、妊娠週数にはズレが生じることがあるので、妊娠8週を過ぎてから心拍の確認ができることも少なくありません。赤ちゃんの生命力を信じて待ちましょう。

また、胎児の心拍が確認できたら役所で母子手帳がもらえます。母子手帳には妊婦健診の内容や検査の目的などが詳しく説明されています。

妊娠経過の記録が綴られていく母子手帳は外出の際、常に携帯するようにしましょう。

さらに、心拍確認後はなるべく早く仕事場の上司に妊娠報告することをお勧めします。つわりで仕事に影響が出る可能性や、産休・育休を取得する時期をなるべく早く知らせておいた方が迷惑をかけずに済むからです。

両親や友達への報告の時期は人それぞれですが、旦那さんと話し合ってタイミングを決めましょう。

・卵黄嚢の大きさを確認

卵黄嚢(らんおうのう)とは、胎盤が完成するまでに胎児がママから栄養をもらうための小さな袋のようなものです。

また、卵黄嚢は胎児に栄養を届けると同時に造血機能を担っています。胎盤完成後に徐々に小さくなって消えていきます。

卵黄嚢の大きさは、妊娠が順調に進んでいるかどうかの判断材料の一つになります。特に卵黄嚢が大きすぎると胎児に栄養が届いていないことが考えられ、流産になる可能性があります。

「卵黄嚢が大きい」と医師から言われると非常に心配になると思いますが、心拍をきちんと確認できていれば胎児が順調に成長することも十分にあります。

なお、妊娠8週の時点で卵黄嚢が見えない場合は残念ながら流産している可能性が高いです。

・CRLを測定して予定日を計算する

CRLとは、「頭のてっぺんからお尻までの長さ」のことです。妊娠8週あたりは胎児の成長にバラつきが少ないため、妊娠週数推定し出産予定日を算出することができます。

ただし、出産予定日はあくまで予定日なので誤差もあり、確実なものではありません。予定日が分かれば病院の分娩予約ができます。

・HIV検査

妊娠初期(妊娠4週~12週)の間にHIV検査を行います。HIVは症状が出るまでに時間がかかり、感染していることに気づかず妊娠してしまうことがあります。

たとえ妊娠初期にHIVに感染していることが判明しても、適切な治療を行えば子どもに感染する確率は1%以下にまで下がります。

妊婦健診のHIV検査は義務ではありませんが、赤ちゃんのためにも受けておきましょう。

妊娠8週の赤ちゃんは「胎芽」から「胎児」へ

妊娠8週から赤ちゃんは「胎芽」ではなく「胎児」と呼ばれ、ヒトの赤ちゃんとして認めてもらえるようになるのです。また、心臓や脳などの重要な器官が発達していきます。

この頃の赤ちゃんは身長が13~18mmで、1日1mmの猛スピードで成長していきます。それまで1つの塊にしか見えなかった身体は頭と胴体が分かれた2頭身になり、手足も伸び始めます。

妊娠8週のママは出血と腹痛に注意!

妊娠8週は、まさにつわりのピークを迎える方が多いです。何を食べても何をしていても、常に吐き気や胃もたれに悩まされる時期でもあります。

前述した通り、胎児は卵黄嚢からママの栄養をしっかり受け取っています。つわりで辛い時期ではありますが、少しでも栄養を届けなければなりません。

そんなとき、必須ビタミンやミネラル・葉酸を配合したサプリメントの摂取がお勧めです。特に妊娠初期の葉酸の摂取は、「流産を防ぐ」「脳の発達を促す」などの効果が知られています。お腹の赤ちゃんのために積極的に摂りましょう。

なお、妊娠8週ころに誰もが心配するのは流産でしょう。

たとえ心拍が確認できていたとしても流産してしまう可能性があります。流産の兆候である出血や腹痛を見逃さないようにしましょう。

大量に出血していたら誰もが気づきますが、ピンク色のおりものが出たり、下痢のようなお腹の痛みを感じたりした場合は原因が分からず放置してしまうことがあります。

しかし流産の中には早期に処置することで防げるものもあるので、ためらわずに病院に連絡しましょう。

そのほか、突然つわりがなくなることも流産の兆候の一つとして考えられています。おりものの変化や腹痛と共に、つわりが消えた場合も要注意です。

また、妊娠初期にかかることがある「絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)」は出血と下腹部の痛みが主な症状です。

絨毛膜下血腫とは、胎児を包む膜の部分に血液が溜まり、血腫ができる病気のことです。血腫は自然に消えていくことが多いのですが、大きくなると流産や早産の原因になることがあると考えられています。

胎盤が発達途中の妊娠9週

妊娠9週の赤ちゃんの身長は、だいたい2~4cm程度です。この頃から、へその緒でママとつながるようになりますが、まだ胎盤は完成されていません。

既に大半の器官の基礎が出来上がっていきます。この週には、指の一本一本が形成されるようになり、爪もつくられていきます。

また、骨の形成も進んでいきますが、まだ軟骨しか作られていないため、エコーで赤ちゃんの脳が黒く写るのみです。

妊娠9週のママが感じるチクチクした痛みの正体とは?

妊娠9週ころになると、妊婦さんの多くが下腹部のチクチクした痛みに悩まされます。これまでに感じたことのない痛みに戸惑う方も多いでしょう。

このような痛みを生理痛や骨盤痛として感じる方もいらっしゃいます。

子宮が伸びることで靭帯が引っ張られるために、下腹部にチクチクした違和感を覚えたり、足の付け根付近に痛みを感じたりするのです。

「お腹の赤ちゃんが成長するために子宮が準備している」と考えると、痛みも受け入れられるのではないでしょうか。

ただし、強い下腹部の痛みや出血がみられた場合は産院に連絡しましょう。

妊娠9週のママの疑問!ヘアカラーはOK?海外旅行は?

この時期は流産の確率も比較的高いため「ヘアカラーをしてもいいのか?」「飛行機に乗ってもいいのか?」「運動をしても大丈夫か?」など、行動一つ一つに不安を抱えるママも多いのではないでしょうか。

・ヘアカラーは胎児に影響があるのか

「妊娠中のヘアカラーが胎児に影響を及ぼすことはない」というのが大半の医師の見解ですが、「妊娠中はヘアカラーをしない方がいい」という医師もいます。

胎児への影響を危惧するだけではなく、妊娠中はホルモンバランスが大きく変化するため、ママがアレルギー反応を起こす可能性があるからです。

ヘアカラーに関しては「ママがどうしたいのか」で決めたら良いと思います。「赤ちゃんのために100%安全なことしかしたくない!」という方であれば、妊娠中は控えた方が良いでしょう。一方で「ヘアカラーを止めたらオシャレが楽しめない」と考えるママは、ヘアカラーをすればいいと思います。

ただし、ヘアカラーをする場合は自分でするのではなく、美容院へ行って髪の根元に付かないように染めてもらいましょう。

・妊娠9週ころの海外旅行はOK?

妊娠が予定外であったため、海外旅行を既に予約してしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。無理をして旅行をしようとする方もいらっしゃいますが、安定期を迎えるまではできる限り安静にすることをお勧めします。

旅行後に万が一流産した場合、旅行したことを悔やみ続けるでしょう。

また飛行機の中は、決して快適な環境ではありません。気圧や酸素濃度の変化によって、つわりが悪化する可能性があります。

「妊娠初期に絶対飛行機に乗ってはいけない」というわけではありませんが、極力控えましょう。

・運動してもいい?

身体を動かすことが好きな妊婦さんにとって、運動を止めるのは辛いことかもしれません。しかし妊娠初期の激しい運動は流産を招く危険性があり、できるだけ身体に負担をかけないように過ごすことが推奨されています。

特に「双子を妊娠している」「流産や早産の経験がある」という妊婦さんは、妊娠初期に限らず運動は控えた方が良いといわれています。

妊娠9週ころは「これをやってもいいのか」「これは食べても大丈夫?」といちいち心配になる方もいます。ただ、神経質になりすぎることはストレスにつながるため良くありません。

全ての行動を制限せず、気持ちに余裕を持って過ごすようにしましょう。ベビー用品やベビー服を見たりすると気分が楽しくなるのでお勧めです。

「妊娠10週の壁」を越えた胎児の様子

「10週の壁」という言葉を知っているでしょうか。流産の多くは妊娠10週までに生じ、10週を過ぎるとその確率は激減するといわれています。

妊娠10週までに流産した場合、その原因のほとんどが胎児側にあります。妊娠10週を越えて胎児が順調に成長していればひとまず安心です。

妊娠10週後半になると、赤ちゃんの身長は3~5cmくらいへと成長します。神経が発達して、主要なところへ神経を張りめぐらすことが可能になり、手足を活発に動かす赤ちゃんも存在します。ただし、まだ胎動を感じ取れるレベルではありません。

頭・胴体・手足の区別がつくようになり、3頭身の胎児はヒトの形に近づきます。また、まぶたや唇・歯の基になる歯根がつくられてきます。

妊娠10週のママは頻尿・感染症・歯のケアに注意が必要

ここでは妊娠10週に多い健康トラブルについて紹介します。

  • 頻尿
  • 感染症
  • 口腔内のトラブル

それぞれ詳しくみていきましょう。

・頻尿

妊娠10週あたりから、子宮の大きさが握りこぶしぐらいまで成長するため、前後にある膀胱と直腸を圧迫するようになります。特に、子宮は前に膨らむため膀胱を刺激してしまうのです。

急に尿意を感じることもあるので、「トイレがどこにあるか」ということを常にチェックしておきましょう。

・感染症

この時期は特に感染症に注意が必要です。ママだけでなく、胎児にまで影響が及ぶことがあるからです。特に風疹の場合、妊娠20週までに感染すると赤ちゃんに障害が残りやすいといわれています。

また、妊婦さんがインフルエンザにかかると重症化しやすく、早産の確率を高めることも指摘されています。

感染経路は胎内での感染だけでなく、分娩時に産道から感染、産後に母乳を介して感染することがあるため、ママの感染予防はもちろん感染症の早期発見・早期治療が重要です。

・口腔内のトラブル

「歯周病が早産の原因につながる危険性がある」ということを知っているでしょうか。歯周病の原因菌が歯茎から血液に入り、子宮内に運ばれます。すると免疫細胞が活発に働き、子宮収縮を招いてしまうのです。

この時期はどうしてもつわりによる食生活の乱れがあり、歯磨きに十分な時間をかけられないために虫歯や歯周病になりやすくなります。

また、妊娠によって女性ホルモンのバランスが変化することで口腔内の環境が悪くなります。さらに口の中の粘膜が敏感になって傷つきやすくなる時期でもあります。

このように様々な要因が重なって、妊婦さんは虫歯や歯周病など口腔内のトラブルに見舞われがちです。実際に妊娠前まで一度も虫歯になったことのない私が産後、虫歯になっていることが分かりショックを受けました。

「妊娠中に歯のケアが十分にできていなかったことが原因だ」と歯医者さんから指摘されたのです。

そこで、妊娠前以上に丁寧に時間をかけて歯を磨くようにしましょう。歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスを使って、歯と歯茎の間の汚れも落とすようにすることも大切です。

性別の違いが出てくる妊娠11週の赤ちゃん

妊娠11週の赤ちゃんの身長は4~6cm、体重は約30g程度にまで成長します。妊娠7週ころまでは4g程度だった体重が5倍以上増えている計算になります。

胎児の身体の臓器が完成し、羊水を飲んでおしっこの排泄を始めます。お腹の中は無菌状態なので羊水が汚れることはなく、胎児が羊水を飲んでも問題ありません。

また、妊娠11週の時点で脳は出生時と同じ状態にまで出来上がっているといわれています。そのほか、口を動かしたり、あくびをしたりできるようになります。

さらに、この頃には外性器が作られ、男女の差が表れてきます。ただし、性別を超音波診断で確かめられるようになるのは、一般的に16週以降といわれています。男の子の方が性器が見えやすいため、早期に判明することが多いといわれています。

妊娠11週ころのママの心配事を解決!

妊娠11週を過ぎるとつわりのピークが過ぎ去り、食欲が戻ってくる妊婦さんもいらっしゃいます。つわりで体重が減ったからと油断して食べ過ぎると、急激に体重が増加して身体に負担がかかってしまうので気をつけましょう。

妊娠初期(妊娠15週)までは、2kgの体重増加が望ましいとされています。

また、流産の確率は低下したものの、妊娠11週はまだまだ不安なことが多い時期です。

次に、妊娠11週のママに多い心配事を紹介していきます。「腰痛とお腹の張りがひどい……」「胎児がダウン症だったらどうしよう」「胎動を感じられないし、赤ちゃんが生きているか毎日不安」といった心配事に答えていきます。

・腰痛や腹痛の原因は?

まだ見た目には妊娠しているかどうかも分からないくらいですが、子宮の大きさは既に握りこぶしよりも一回り大きなサイズになっています。

そのため腸が圧迫されて機能が低下し、便秘を招きます。また、妊娠によって女性ホルモンのバランスが変化することも便秘に影響を与えます。

便秘を放置していると腸内に溜まったガスによってお腹の張りや腹痛を感じたり、パンパンになった腸が骨盤や背骨を圧迫して腰痛を招いたりするのです。

妊娠してから腰痛や腹痛に悩んでいるという方はまず、便秘を解消しましょう。整腸作用のあるヨーグルトや食物繊維が豊富なきのこ類・野菜をしっかり食べることが大切です。また、腸の働きを活発にし、便を柔らかくするために1日1リットルを目安に水分摂取も心がけましょう。

一方で、お腹の張りや腹痛を予防するためにタイトな服装をやめてマタニティウェアに切り替えるといいです。胸の張りを感じる場合はマタニティブラをつけましょう。窮屈な服装はお腹の赤ちゃんにも良くありません。

・胎児の異常を調べる場合は出生前検査を受ける

特に30代後半・40代で妊娠した場合、お腹の赤ちゃんにダウン症などの染色体異常がないか心配な方が多いです。

妊娠12~18週ころに「出生前検査」を受けることで胎児の病気の有無を調べることができます。特にダウン症の場合は首の後ろのむくみや浮腫があることが多く、超音波検査である程度分かります。

出生前検査を受けるかどうかは、検査結果をどう受け止めるかも考えながら、旦那さんとよく話し合って決めましょう。参考までに、以下は実際に私が受けた出生前検査(出生前診断)の結果であり、「約29分の1の確率でダウン症です」という結果です。

その後は羊水検査による確定診断をして何も問題なかったのですが、血液検査で可能な出生前検査を前もって実施することで、ダウン症かどうかの簡単な検査をすることができます。

・元気な赤ちゃんの心拍が聴ける

妊娠してからも流産が心配で基礎体温を記録している方はたくさんいます。また、「心拍停止していたらどうしよう……」と不安になる日もあるでしょう。

実は「ドップラー聴診器(心音計)」を使うと、赤ちゃんの心音を聞くことができます。「エンジェルサウンド」という商品名で販売されています。

妊娠11週ではまだ聞こえない可能性もありますが、心音計で心拍が確認できると「次の健診まで不安で仕方ない」という事態を避けることができます。

また、心音計はママと違って実感が湧きにくいパパにもお勧めのアイテムです。定期的にお腹の赤ちゃんの心臓の音を聴かせてあげると良いでしょう。

妊娠初期の中絶は妊娠11週までに

やむを得ない理由で中絶を検討しなければならない場合、身体への負担も考慮して極力早期に手術を受けるようにしましょう。妊娠が進むにつれて中絶の手術方法や費用・身体へのリスクが変わってきます。

妊娠11週と6日までであれば中絶手術は日帰りで受けられます。中絶手術は麻酔をかけて子宮内の内容物をかきだしていきます。痛みはほとんど無いといわれています。

また、費用は15万円程度です。ただし、手術の際に医療器具によって子宮内に傷が残ったり、感染症にかかったりするリスクを伴います。

まとめ

妊娠3ケ月はつわりが辛かったり、流産の心配が常に頭の中にあったりします。また、頭痛・腰痛・腹痛に悩まされるなど、妊娠によるストレスを感じやすい時期です。

しかし一方で、赤ちゃんの心拍や少しずつヒトらしい姿に成長している姿を確認できて、妊娠した喜びを感じられる時期でもあります。

お腹の赤ちゃんのことばかりが気になる方も多いと思いますが、10週の壁を乗り越えた後はママ自身のケアにも気をつけましょう。

特に便秘や虫歯については予防が可能です。また、服装を少しずつマタニティウェアに切り替えてリラックスして過ごしましょう。こうして、3ケ月目を無事に乗り越えられたら安定期までもう少しです。

神経質になることも多いマタニティライフですが、楽しむことも忘れないでください。