妊活を始めると「妊娠しているかな?」「早く妊娠が知りたい!」と、ソワソワしてしまうのではないでしょうか。

妊娠しているかどうかを簡単に判別する妊娠検査薬は、通常生理予定日の1週間後から使えます。しかし妊娠を待ち望んでいる女性にとって「そんなに待てない!」という方もいらっしゃるでしょう。

実は妊娠超初期の基礎体温の変化を観察することで、いち早く妊娠を見分けることができます。また、早期に妊娠に気づくことで、薬の服用やお酒・タバコを止められるので胎児の安全にもつながります。

妊活中は基礎体温の変化から妊娠しやすい時期を判別できるため、「毎日基礎体温を測って記録している」という方も多いことでしょう。

今回は、「できるだけ早く妊娠を知りたい!」という方のために「基礎体温から読み解く妊娠の見分け方」について紹介していきます。

妊娠超初期の基礎体温の変化から妊娠を判別する方法

妊娠検査薬でも判別できない妊娠超初期の妊娠を、基礎体温からどのようにして見分けるのでしょうか。

これには、以下のような方法があります。

「低温期→高温期→低温期」の生理周期サイクルの変化

女性の基礎体温が生理周期によって変化するのはご存知でしょう。妊娠すると、このサイクルに変化が生じます。

一般的に女性の身体は、生理初日から2週間ほど基礎体温が低い「低温期」が続きます。その後、最も体温が下がる「排卵日」を境に、2週間ほど基礎体温が高い「高温期」が続きます。

妊娠していなければ、高温期が続いた後に体温が下がり、再び低温期を迎えて生理が始まります。

しかし、妊娠すると「低温期→高温期→低温期」のサイクルが変化し、生理が止まるため、「低温期→高温期→高温期」というように高温期が持続するのです。高温期が2週間以上、正確には「いつもの高温期の日数+2日以上の高温期」が続いたら、「妊娠の兆候である可能性がある」といえます。

ここで、「低温期と高温期の差はどのくらいか」「具体的に何度くらいか」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。低温期と高温期の差は0.3~0.5度といわれ、高温期は36.7度前後が多いとされています。つまり低温期は36.2~36.4度が平均的といえます。

ただし基礎体温には個人差があり、必ずしも同じパターンを示さない方もいます。例えば、高温期が37度を示す人もいれば、高温期が36度前半で妊娠する人もいます。このように、「基礎体温が高くないから妊娠できない」「基礎体温の動きが平均的でないから妊娠できない」とは一概にはいえません。

しかし、「元々高温期が長い」「基礎体温表のグラフがガタガタ」「低温期・高温期がバラバラで安定しない」といった場合は、基礎体温の変化から妊娠を見分けるのは難しくなります。

また、基礎体温には個人差があると述べたものの、低温期と高温期の差が無い場合は排卵機能や卵胞の成長に問題があるかもしれないので病院で診てもらうことをお勧めします。

高温期が二段階上昇する!?

妊娠して高温期が持続する際に、二段階で基礎体温が高くなることがあるといわれています。

高温期に入るのは、排卵時に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響です。黄体ホルモンには体温を高くする働きがあります。

ここで妊娠せずに生理が始まると、黄体ホルモンの分泌量が減って基礎体温も下がるのに対し、妊娠すると黄体ホルモンの分泌がさらに増えます。そのため、高温期の中でもう一段階基礎体温が上がるのではないかと考えられています。

しかし、基礎体温が二段階上昇したからといって必ずしも妊娠しているわけではありません。妊娠した方の中に「基礎体温が二段階上昇していた」という声が多く見られるといわれているだけに過ぎないのです。多くのデータの存在はあるものの、基礎体温の二段階上昇は医学的に検証されていません。

高温期に基礎体温が二段階上がった場合、妊娠超初期の兆候の一つとして捉えるとよいでしょう。

基礎体温が一度下がって、また上昇する!?

高温期に入り基礎体温が上昇した後、一時的に(1~2日間程度)基礎体温が下がり、再び上昇する「インプランテーションディップ」と呼ばれる妊娠の兆候のサインがあります。日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカなどでは広く知られています。

インプランテーションディップが見られるのは、排卵から約7日後の着床時期と重なります。そのため、着床の兆候の一つとして考えられています。

基礎体温を記録していてこのようなv字形やU字形を示した場合、妊娠の可能性があります。一方で、基礎体温が低いままの状態が3日間以上続いた場合はインプランテーションディップではなく、低温期に入ったと考えられます。

インプランテーションディップについても基礎体温の二段階上昇と同様、医学的な根拠は得られていません。したがって「インプランテーションディップが見られない=妊娠していない」「インプランテーションディップが見られる=妊娠している」ということが必ず当てはまるわけではないのです。

妊娠超初期は基礎体温の変化に加えて倦怠感がみられる?!

妊娠超初期に変化がみられるのは基礎体温だけではありません。同時に体調にも変化がみられます。

眠気を始め倦怠感や頭痛、めまい、肌荒れといった身体に様々な症状が表れることがあります。特に妊娠すると高温期が継続するため「熱っぽい」と感じ、加えて倦怠感などから「風邪をひいた」と勘違いして薬を服用してしまうことも珍しくありません。

したがって、前述したような基礎体温の変化に加えて身体の不調がみられた場合は、安易に薬を服用せずに妊娠している可能性を考えて安静にするようにしましょう。

基礎体温を正しく測るための5つのコツ

「基礎体温表がガタガタになる」「低温期・高温期の境がなくバラバラ」という場合、身体に原因があるのではなく、実は基礎体温が上手く測れていないだけかもしれません。

前述した通り基礎体温の低温期・高温期の差はわずか0.3から0.5度なので、ちょっとした測り方の差が大きく影響します。

そこで、これから「基礎体温を正しく測る5つのコツ」を紹介しましょう。

  • 起床時に基礎体温を測る
  • 規則正しい生活を心がける
  • 新しい基礎体温計を使用する
  • 基礎体温を正確に測る
  • 基礎体温の記録は少なくとも、生理周期を含めた2クール以上続ける

それぞれ詳しく述べていきます。

・起床時に基礎体温を測る

基礎体温は、朝、目覚めてから身体を動かす前に測るのが鉄則です。ベッドから起き上がらない状態で体温が測れるように、枕元などに毎晩体温計を置いて眠るようにしましょう。

計測のタイミングは、毎朝同じ時間が望ましいです。ここで「日中や夜の決まった時間ではダメなのか」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。基礎体温は身体が活動状態に入ってしまうと大きく変動するため、測定してもあまり意味がありません。

基礎体温は起床時から昼・夜にかけて0.5度以上変化するといわれています。起床時が最も低い状態です。前述した通り、低温期と高温期の差はわずか0.3~0.5度なので昼・夜に測定しても意味がないことが分かって頂けるでしょう。

また基礎体温は、測定する時間以外に季節の影響も受けます。部屋の気温が高いと基礎体温も上がりやすく、気温が低いと下がることがあります。特に、冬は基礎体温が下がる時期といえます。明け方は部屋が冷えるので室内の気温をなるべく一定に保つことも重要です。

・規則正しい生活を心がける

睡眠時間がバラバラだったり、食生活が乱れていたりすると基礎体温が安定しません。なるべく規則正しい生活を心がけ、身体がきちんと休んだ状態で測るのが大切です。

・新しい基礎体温計を使用する

体温の細かい推移をチェックするために、0.01℃刻みで計測できる基礎体温専用の体温計を用意しましょう。このとき、あまりに古い体温計は使用しないことをお勧めします。

実は私も基礎体温を記録し始めたとき、実家にあった「婦人体温計」と書かれた古いものを使用していました。手書きで記録をつけても基礎体温表がガタガタで「子宮の機能が悪いのかな」と心配になりました。

しかし「体温計が古いからかも!」と最新式の基礎体温計を購入したところ、きれいなグラフが描けて安心しました。

私が購入した基礎体温計がこちらです。

こちらの基礎体温計はアプリと連動していて、自動で基礎体温表を作成してくれる機能が非常に便利でした。古い体温計を使用していた時は、たまに測定後数値を記入し忘れて記録のとれない日があったからです。

そのとき、「最初から古い基礎体温計は使わずに最新のものを購入しておけば、無駄な時間や心配をしなくて済んだのに……」と後悔したものです。

最新式の基礎体温計でも2000円程度で購入できるので、古いものや少し前に購入したものは使用せずに新しい体温計を用意しましょう。

・基礎体温を正確に測る

体温は口に体温計をくわえて測るのですが、舌の上に体温計を載せるのではなく、舌の下の奥、中央にある舌のスジ(舌小帯)の左右どちらかに当てて固定しましょう。軽く口を閉じたら、手で押さえます。

また、検温中は鼻呼吸を意識して口で息をしないようにしましょう。

・基礎体温の記録は少なくとも、生理周期を含めた2クール以上続ける

1ケ月間程度の基礎体温の記録ではデータとして不十分です。基礎体温が「いつもより高い」「いつもより低い」と判断したり、また基礎体温の変化に気づいたりするには、少なくとも生理周期を含めた2クール以上が必要になります。

基礎体温が徐々に下がるのは流産の可能性?

高温期が2週間以上続き「妊娠した!」と思いきや、基礎体温が徐々に下がっていくと「流産しているのでは?」と非常に不安になることでしょう。

受精卵が着床すると黄体ホルモンが分泌され基礎体温は上昇します。しかし妊娠が継続できなかった場合、再び黄体ホルモンの分泌が減り、基礎体温は徐々に下がっていきます。したがって高温期が続いていたのに低温期に入った場合、流産している場合が考えられます。

また、基礎体温の低下に加えて下腹部痛や出血といった症状も流産のサインとなります。

ただ、基礎体温が「少し下がった」「徐々に下がった」からといって、必ずしも流産しているわけではありません。「基礎体温が正しく測れていない」「ホルモンバランスが一時的に乱れている」だけの可能性もあります。

基礎体温が不安定でも妊娠が継続していることもあるので、過剰に心配しない方が良いといえます。

また、妊娠超初期・妊娠初期の流産は流産全体の8割以上を占め、その原因のほとんどが胎児側の成長異常なので完全に防ぐことはできないのです。

しかし、だからといって「妊婦健診を受けない」「十分に休まずに無理をする」といったことは止めましょう。早期に異常が見つかれば、防げる流産もあるからです。

その他、感染症の予防をしたり、体重管理をきちんとしたり、流産の予防効果があるといわれている葉酸サプリメントを摂取したりして、流産対策をすることは可能です。

まとめ

妊活中の方、これから妊娠を考えている方で「基礎体温を記録したことがない」という方は基礎体温表の作成をお勧めします。

あなたの生理周期や基礎体温のデータを取っておくことで、妊娠したときに基礎体温の変化からいち早く妊娠の兆候を知ることができるのです。

基礎体温表から「低温期→高温期→高温期が続く」「高温期が二段階上昇する」「インプランテーションディップが見られる」という変化がみられた場合は、妊娠のサインかもしれません。薬の服用やカフェイン・お酒の摂取、喫煙を止めて身体になるべく無理をかけないようにしましょう。

また基礎体温を記録することは、妊娠の兆候を知る以外にも「妊娠しやすい時期」「妊娠しにくい時期」を判別したり、子宮機能の異常を発見したりと自分の身体を良く知るきっかけにつながります。

ただし基礎体温を記録するには、正確に基礎体温が測定できていることが大前提です。ここで紹介した5つのコツ「起床時に基礎体温を測る」「規則正しい生活を心がける」「新しい基礎体温計を使用する」「基礎体温を正確に測る」「基礎体温の記録は少なくとも、生理周期を含めた2クール以上続ける」を意識しましょう。

基礎体温を正しく測定して記録し、妊活に役立ててください。