妊娠中の寒気の原因と対策!流産や腹痛から学ぶ寒気の症状

公開日: : 最終更新日:2018/12/04 葉酸

妊娠してから「ゾクゾクするような寒気をよく感じる」「風邪でもないのに何だか寒い……」という経験はないでしょうか。実は妊娠することによってもたらされる寒気があります。

妊娠中の寒気は、つわりの症状が表れる妊娠初期だけでなく、妊娠中期から後期にかけても多く見られます。「妊娠による寒気なら放置しておくしかないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、寒気の中には放っておいてはいけない危険な場合があるので注意が必要です。

そこで今回は、妊娠中の寒気の原因と対策、放置してはいけない寒気について説明していきます。ここでしっかりと知識を蓄えて、ご自分の身体の調子を今一度確かめてみましょう。

妊娠中に寒気を感じる原因とは?

なぜ、妊娠すると寒気を感じる方が増えるのでしょうか。寒気には以下のような原因が考えられます。

  • 貧血によるもの
  • 自律神経の乱れによるもの
  • 外気温と体温の差によるもの
  • 腎盂腎炎によるもの

それぞれ順に見ていきましょう。

貧血によって吐き気や動悸を生じる

妊娠すると、お腹の中で赤ちゃんを育てるために母体内では血液量を増やし、多くの血液を送り届けようとします。しかし、血液中の赤血球(血液の中で最も多い成分で、体内に酸素を運搬する重要な役割を担っている)の量はそれほど増加しません。

一方で、血液の液体成分である血漿量だけが大幅に増します。その結果、血液量は増えるものの、赤血球の生産が追い付かない薄い血液が循環することになってしまいます。このような状態を「貧血」と呼びます。

貧血になると、立ちくらみ・めまい・吐き気・動悸といった症状のほか、寒気をもたらすことがあります。ここで、「なぜ貧血が寒気を引き起こすのか」と疑問に思う方がいらっしゃるでしょう。

前述した通り、赤血球は酸素を全身に届けます。そして体内では酸素を使ってエネルギー代謝を行い、熱を発生させて体温を保持しているのです。ここで赤血球が不足するとエネルギー代謝がスムーズに行われなくなるため、熱が発生せず寒気を感じるようになるのです。

妊娠中の貧血は、妊婦さん特有の生理現象であるため避けることが難しいといえます。特に妊娠中期以降は子宮も大きく成長し、赤ちゃんの発育も加速するため、さらに多くの血液が必要になってきます。

つまり妊娠中期以降の方が、貧血状態が加速され貧血による寒気を感じやすくなってしまうのです。

自律神経の乱れによって、ほてりや微熱が表れる

自律神経は、身体が興奮状態の時に働く交感神経とリラックスしているときに働く副交感神経の2つの神経のことです。私たちの身体は、自律神経のスイッチが上手く切り替わることで血圧や体温・代謝・呼吸など生命活動を維持する上で欠かせない体内機能の調整を行っています。

しかし、妊娠すると体内のホルモンバランスが急激に変動するため自律神経が乱れてしまうことがあります。自律神経が乱れると体温調整が上手く働かなることがあり、汗が大量に出たり、身体がほてったり、微熱が出たりといった不調が表れるのです。

汗をかくことで身体が冷えて寒気をもたらします。また、ほてりや発熱が生じる過程では、身体は「体温を上げて身体を守るモード」に切り替わるため、実際には気温が低いわけではないのに「寒い」と感じてしまうのです。

外気温と体温の差が大きくなり、寒気を感じる

妊娠すると女性ホルモンの一種「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の作用で、妊娠6ケ月くらいまで母体の体温を高く保とうとする力が働きます。この高めの体温が外気温との差を生み、いつもより寒さを感じやすくなってしまうのです。

しかし、黄体ホルモンによる高温期の維持は妊娠6ケ月程度です。したがって「この寒気はいつまで続くんだろう……」と不安になる方もいらっしゃると思いますが、黄体ホルモンの影響で寒気を感じている場合は妊娠中期・後期になると寒気が落ち着いてくるでしょう。

・腎盂腎炎で痛みや高熱を生じる

「腎盂腎炎」とは、腎臓で細菌が繁殖し炎症を引き起こす疾患です。妊婦全体の0.5~2%がかかる病気と言われています。

女性は男性に比べて尿道が短いため、元来、膀胱炎などの尿路感染症を引き起こしやすい体質を持っています。

その上、妊娠中はホルモンが影響して、腎臓と膀胱をつなぐ尿管の収縮が弱くなります。加えてお腹が大きくなることで膀胱が圧迫されます。さらに、残尿量の増加によって膀胱に溜まった尿が尿管へ逆流することがあり、細菌が身体の奥へ侵入して繁殖してしまうのです。

症状としては、激しい「寒気」、震えなどに加えて、腰や背中に鈍い痛みが伴います。また、38℃以上の高熱が出る、尿が濁るというのも特徴です。

私の友人は妊娠中に腎盂腎炎を発症し病院に運ばれました。彼女は初め、ただの風邪だと勘違いして我慢した結果、腎盂腎炎が悪化して結局1週間ほど入院することになってしまったのです。私もそのときに初めて腎盂腎炎は妊婦さんがかかりやすい病気であることを知りました。

悪寒に加えて高熱という症状が表れると「風邪やインフルエンザ」を疑ってしまいそうですが、腎盂腎炎の可能性も念頭に置いておきましょう。

寒気の対策・対処の方法は?

妊娠中の「寒気」の原因がわかったところで、今度はその「寒気」を解消する対策・対処法について考えていきましょう。

  • 身体を冷やさない
  • ふくらはぎをもむ
  • 食生活を改善する
  • 貧血の薬を服用する

それぞれ順に説明していきます。

身体を冷やすと寒気以外に頭痛・便秘・腰痛などを招く

寒気の有無に関わらず、妊娠中の女性は身体を冷やしてはいけません。基本的な注意事項ではありますが、身体を冷やすことで全身の血行が悪くなり、寒気だけでなく頭痛や便秘・腰痛・腹痛・肩こりを招きます。また、冷えは自律神経にも悪影響を与えてしまいます。

ただでさえ自律神経が乱れている妊婦さんは身体を温めるように意識しましょう。腹巻を巻いたり、下着を重ね着したり、靴下を2枚履いたりしましょう。

例えば私は妊娠中にこのようなマタニティー用の腹巻を使って身体が冷えないように気をつけていました。

また手首・足首・首は露出されがちですが、この部分には太い血管が通っているため冷やしてしまうと全身に冷たい血液が流れてしまいます。

一方で、寒気を感じたときにこの部分を温めると効果的です。私は寒気を感じたときはいつもアームカバーやレッグウォーマーを着用し、首元をカイロで温めるようにしています。

私は妊娠中の寒気はもちろん、風邪のひき始めに感じる寒気にもこのようなアイテムを活用しています。特に強い寒気には、首元をカイロで暖めると効果的です。

・ふくらはぎを揉む

ふくらはぎには、自律神経のツボが存在します。また、ふくらはぎは別名「第二の心臓」とも呼ばれ、下半身の血液を心臓に送り戻すポンプの役割を担っています。

したがって、ふくらはぎを揉んだり温めたりすることで全身の血流が良くなり、冷えを解消することが期待できます。レッグウォーマーを使って、ふくらはぎが冷えないようにするのも良いでしょう。

また、ふくらはぎを揉むことは「ふくらはぎがつる」予防になります。私は妊娠後期に入って頻繁にふくらはぎがつるようになり、お風呂上がりにふくらはぎを揉んでいました。

以下のような部分をアキレス腱から膝裏に向かって心臓に血液を戻すイメージで揉むようにしてマッサージしましょう。

このようにふくらはぎを揉むことは寒気対策だけでなく、ふくらはぎがつる予防にもなり、一石二鳥といえるのではないでしょうか。

・食生活を改善する

前述した通り妊娠すると貧血になりやすく、それが原因で寒気を生じてしまいます。貧血は食事の内容を意識することで予防・改善が期待できます。

赤血球の主要構成成分である「ヘモグロビン」は鉄分とタンパク質でできています。したがって、鉄分と良質なタンパク質を食事から摂取するようにしましょう。

鉄分を豊富に含む食材は、ひじき・きくらげ・レバー・煮干し・しじみ・焼き海苔・ゴマなどです。良質なタンパク質を含む食材には、肉類(牛・鶏・豚)や卵、魚介類、大豆製品などがあります。

また、正常な赤血球をつくるためには葉酸が欠かせません。緑黄色野菜からも摂取できますが、効率よく摂るには葉酸サプリメントがお勧めです。

その他、鉄の吸収を阻害する食品を控えるようにしましょう。ハムやソーセージなどの加工食品や清涼飲料水、スナック菓子などに配合される添加物の一種「リン酸塩」は鉄の吸収を阻害します。

・貧血の薬を服用する

食生活を改善しても寒気が解消されない場合や、めまい・ふらつき・だるさなど貧血の症状が強く表れている場合は病院で貧血の薬を処方してもらった方が良いでしょう。

妊娠中期以降の貧血で未熟児や奇形児が生まれるリスクは低いとされていますが、重度の貧血の場合、低体重出生児のリスクは上がってしまうといわれています。

妊娠中でも服用できる貧血の薬(鉄剤)には以下のようなものがあります。

【クエン酸第一鉄ナトリウム(フェロミア)】

鉄と鉄の吸収を高めるクエン酸の化合物です。

【硫酸鉄(スローフィー)】

胃から腸にかけてゆっくり鉄を放出する鉄剤です。胃への負担がかかりにくいのが特徴です。

このような鉄剤を服用すると、便が黒くなることがあります。また、吐き気や下痢、便秘などの副作用が現れた場合は医師に相談しましょう。

食事療法に加えて鉄剤を服用することで寒気を含む貧血症状が早く改善されます。

放置してはいけない危険な寒気の見分け方

妊娠してつわりが始まると吐き気やめまい・情緒不安定など様々な症状が表れてきます。寒気もつわりの症状の一つとして挙げられます。

一方で、妊娠中期に入るとつわりが落ち着いてきます。様々なつわり症状に苦しんだ妊婦さんにとって、多少寒気がしても気にならない方も多いのではないでしょうか。

しかし、寒気の中には放置しておくと危険な場合があります。ただ、「どのように見分けていいか分からない」という方も多いでしょう。放っておいてはいけない寒気とはどのような症状を指すのでしょうか。

・不正出血や下腹部痛を伴う寒気

急に寒気を感じると「流産しているのではないか?」「お腹の赤ちゃんは大丈夫か?」と不安になる方も多いでしょう。「寒気がする=流産している可能性」という科学的な根拠はありません。ただ、流産を経験した方の中に「強い寒気を感じた」という声があります。

寒気に加えて、血の塊を伴う不正出血やお腹を締め付けられるような下腹部の痛みが現れた場合は注意が必要です。早めに病院で診てもらうようにしましょう。

・38度以上の高熱に加え、腰痛や背中の痛みを伴う寒気

腰痛や背中の痛みを伴う寒気は前述した腎盂腎炎の症状です。高熱や腎臓付近の身体の痛みに加えて、頻尿や排尿痛、尿が濁るといった膀胱炎を併発することもあります。

腎盂腎炎は、胎児への直接的な影響はないとは言われていますが、腎臓に入り込んだ細菌によって子宮や卵膜などに感染が広がり、破水や早産へつながってしまう危険性があります。

インフルエンザや風邪でも高熱や身体の痛みを生じるので症状を見分けにくいのですが、病院で尿検査を行えば腎盂腎炎はすぐに判別できます。

まとめ

寒気を感じると、まずは風邪を疑う方が多いでしょう。「風邪は放置しておくしかない」と寒気を我慢していると、私の友人のように腎盂腎炎が悪化し、入院する事態に陥ってしまうこともあります。さらには破水や早産を招くこともあります。一方で、流産のサインを見逃したりすることもあり得ます。まずは寒気の原因を探りましょう。

腎盂腎炎の場合は高熱に加え、背中の痛みや腰痛を伴います。風邪だと鼻水や喉の痛みを招くので区別できるのではないでしょうか。

また、貧血は寒気以外にめまい・吐き気・動悸などの症状が見られます。自律神経が乱れているときはイライラしたり情緒が不安定になったり、暑くもないのに大量の汗をかいたりします。

貧血の場合は食事を見直すこと、鉄剤を服用することで寒気が解消されるでしょう。自律神経の乱れに対しては身体を冷やさないように心がけることが重要です。

妊娠中は体調の変化に特に気をつけなければなりません。寒気を感じた場合は、風邪以外の病気も疑って、紹介した対策を参考に安全なマタニティライフを心がけてください。

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