妊娠10ヶ月【妊娠36週・37週・38週・39週】

いよいよ妊娠10ヶ月!この月の妊娠37週1日~41週6日までが「正産期」と呼ばれ、多くのママが出産を体験する時期となります。ママの身体は出産へ向けてラストスパートを開始し、十分に成長した赤ちゃんも出産に備えて下へ降りていきます。きっと赤ちゃんも、ママやパパに会える日を心待ちにしているでしょうね!

妊娠36週

ママの身体と注意点

妊娠36週くらいになると、出産に向けてママのお腹の中では赤ちゃんが骨盤にどんどんすっぽりとおさまる形になっていき、それにつれて子宮も下に下がっていきます。そのため、横隔膜への圧迫感は徐々に解消されていくのですが、子宮が下へ下がった分、胃腸などへの圧迫が強くなり、あまり食べられないママも出てきます。

しかし、出産に備えて、ママも体力をつける時期でもあるので、食事の回数を増やし、1回の量を減らすなどしてなるべくバランスのいい食事を摂るように心がけてください。

また、臨月のこの時期、ママの体内では水分量がさらに増加むくみがさらにひどくなりがちです。寝る前にマッサージをする、塩分を摂り過ぎないようにする、就寝時に足を上げたまま寝などの対策で頑張ってみてください。着圧ソックスもおすすめですよ。

そして、臨月ともなると、「前駆陣痛」が度々起こるようになります。お腹が強く張ったり、痛みがあったりすると、「陣痛かも!?」とドキッとするかもしれませんが、前駆陣痛は張りや痛みの波が不規則にやってきて、しばらく安静にしていれば自然と治まるのが特徴。

とはいえ、いつ本陣痛が起こってもおかしくない時期ですから、「陣痛かも」と感じた時は、痛みの間隔を測るように癖をつけておきましょう。痛みが定期的にやってきて、どんどん強さも増すという時は、本陣痛の可能性があります。痛みの間隔を測りながら、病院に連絡して適切な指示を受けるようにしてください。

ただ、妊娠36週は臨月ではあるものの、まだ「早産」にあたる時期。赤ちゃんはかなり育ってはいますが、多胎妊娠や高齢出産の場合は早産になりやすい傾向があるとも言われていますので、油断せず、体調の変化を見逃さないように注意してください。それから、出産がいつ始まるかわかりませんから、出産の準備もこの週までに終わらせておくことをおすすめします。

そして、この妊娠36週からは定期検診が週1回のペースになります。これ以降、いつ陣痛がきてもおかしくない時期になるため、細かく妊婦さんの状態をチェックすることが必要になるからです。健診時には、問診や超音波エコー検査はもちろん、内診やNSTと呼ばれる「胎児心拍モニタリング」なども行われるようになるでしょう。

また、臨月の運動については、少し前までは「臨月の妊婦は安静に」と言われることが多かったようですが、今はお産を軽くするためにも軽い運動を続けるように指示されることが多いと聞きます。もちろん、安静を指示される妊婦さんもいるので、その場合は医師の指示にきちんと従うようにしてください。それから、これ以降の性交渉はNG!夫にも伝えて、家族みんなで赤ちゃんの誕生を待ちたいですね。

赤ちゃんの様子

妊娠36週の赤ちゃんは身長45~47cm体重2~2,9kgほど!個人差はあるものの新生児並みにまで成長していますね!ただ、赤ちゃんの身長や体重は個人差が大きく、超音波エコー検査などで弾き出される数値も誤差があるので、「赤ちゃんの個性」と思って、あまり気にしないようにしましょう。

ただ、36週の段階で赤ちゃんが4kg=4,000g以上に育っている場合は、肩が引っかかってしまうタイプの「肩甲難産」などの難産になる可能性が高くなるとも言われています。そのため、「この週に出産しましょう」と医師に指示されることも。医師としっかり相談して、ママと赤ちゃんの両方にベストな選択をするようにしてくださいね。

ただ、妊娠36週の赤ちゃんは皮膚筋肉もしっかり形成され、内臓機能もきちんと整って呼吸も体温調整もできるようになっています。この時期の赤ちゃんはすでにお腹の外に出ても大丈夫なくらいあらゆる機能を備えているといっても過言ではありませんので、いざ出産となっても心配し過ぎる必要はありません。

その他、この時期の赤ちゃんは光のある方向を向いたり、足を前後に動かして歩くような姿勢を見せたりすることも。また、胎毛はほとんどが抜け落ち、ツルツルとした張りのある肌になります。赤ちゃん自身がエネルギーを生産できるようになってきたので、赤ちゃんを寒さなどから守っていた胎脂は不要になり、剥がれ落ちていくので、ピンク色のかわいい肌が見えるようになります。

妊娠37週

ママの身体と注意点

妊娠37週からは「正産期」に入ります。この37週~39週にかけて約半数の妊婦さんが出産すると言われており、この時期の子宮底長は32~37cmほど。

みぞおちにまで達していた子宮底が骨盤の方へと移動して、赤ちゃんの頭は骨盤にすっぽりとおさまっている状態に。赤ちゃんの頭が骨盤におさまること、赤ちゃんが大きくなり子宮内で動けるスペースがなくなることから、胎動は回数が減ってきます

また、臨月には赤ちゃん・ママの両方で体重がピークを迎えることから、それを支える足の付け根が痛くなったり、足がむくみやすくなったりします。これは臨月の妊婦さんには珍しくないことですが、むくみがひどい時は「妊娠高血圧症候群」につながる危険性もでてきます。急に足がまるでゾウの足のようにパンパンに膨れあがるなど、何らかの異常が見られた時は、すぐに病院へ行き、医師の診察を受けるようにしてください。

また、36週に続き、この週も前駆陣痛が起こりがちになります。痛みが強いと不安になるかもしれませんが、安静にしていて治まるようなら心配はいりません。

それから、この時期はお腹の張りが辛くて睡眠不足になるママも増えてくるようです。いつ出産となってもおかしくないこの時期。いざそうなった時に力が出せないというのではいけませんので、夜によく眠れないというような方はお昼寝などで補うようにしておきましょう。

また、赤ちゃんが産道へスムーズに降りてこられるように、この時期、産道を柔らかくするためにおりものの量と質が変化します・個人差もあるのですが、白・薄い茶色・黄色っぽい色などへ色が変わる、水っぽくなる、粘り気が出る、ゼリー状になる、匂いがきつくなる・・などといった変化が見られるように。

ただし、おりものが茶色だったり、血が混じっていたりする時は、「おしるし」の可能性もあります!「おしるし」とは、赤ちゃんを包んでいる卵膜が剥がれて出血し、子宮頸管の粘液と混ざって外に出てきたものと言われ、出産が近いというサイン!

色はピンク色・茶色・褐色などで、量も生理時のように多く出るのではなく、印鑑くらいの少量の出血のようなものが見られ、すぐに止まることが多いと言われています。ただし、色や量には個人差もあるのだとか。

出産の当日~3日ほど前に現れることが多いようですが、人によっては1週間以上前だったり、3日間もおしるしが続いたりということもあるようです。

またこの37週には、外出中などにいきなり「破水」してしまう妊婦さんも少なくありません。「破水」とは、赤ちゃんや羊水を包んでいる卵膜が破れ、羊水が体外へ流れ出てしまうこと

この破水が起こると、出産が始まることが多いため、すぐに救急車を手配する必要があります。急に破水してしまうとパニックに陥るママも多いのですが、そんな時は周りの人の助けを借りるのも一つの手。また、突然のトラブルに備えて、財布や携帯電話、保険証や診察券などは常に携帯しておくようにしましょう。

そして、逆子など何らかの問題があるケースだと、この妊娠37週~38週目に、経膣分娩ではなく、帝王切開を行わなければならない妊婦さんも出てきます。この場合、帝王切開のスケジュールを事前に決めて出産する「予定帝王切開」という方法が取られ、赤ちゃんの成長を確認しつつ、施術が行われます。

帝王切開とは、縦切開、または横切開によって開腹し、赤ちゃんを取り出す手術のことで、かかる時間は約30分~1時間、術後2~3日は安静が必要で、5~7日後に抜糸、10日前後で退院となるのが一般的。

今は妊婦さんの5人に1人がこの帝王切開で出産していると言われており、決して珍しいことではありません。医師とよく話し合って、赤ちゃんやママの身体のためにも最良の選択ができるようにしましょう。

また、妊娠37週の頃から、健診で「子宮口の開き具合」がチェックされるようになります。子宮口とは、子宮の出口のことで、お産が進むにつれて、赤ちゃんの頭や身体が通れるように少しずつ柔らかくなって開いていくものなのです。この時期は、子宮口が徐々に開き始めていくため、1cmくらい開いていると指摘される妊婦さんが多いようです。

赤ちゃんの様子

妊娠37週の赤ちゃんの身長45~48cm体重2,5~3kgほどに成長!
消化器官が発達して、腸内に老廃物や濃い緑色をした「胎便」がたまっている状態に。

この「胎便」は、生まれた後に排出されるもの。ですから、出産後、赤ちゃんが濃い緑色や真っ黒の便をした時は、「胎便がきちんと出せた」ということになるのです。

また、内臓が完成し、肺呼吸の準備も整っており、足の爪は長く伸びています。頭囲が肩幅やお尻まわりと同じくらいの大きさにまで成長し、いつお腹の外へ出て行ってもOKな状態まで発達しています。赤ちゃんに会えるのも、もうすぐ!とても楽しみですね!

妊娠38週

ママの身体と注意点

妊娠38週は、赤ちゃんが下に下がるにつれて胃や横隔膜の圧迫感が減って、胸苦しさや動悸・息切れ、胸やけや吐き気などの症状が減ってくると思います。

ただ、赤ちゃんが下りてくることで、下半身への負担が大きくなり、恥骨や股関が痛んだり頻尿などの症状が出やすくなったりします。大腸や膀胱への圧迫がさらに増し、圧迫が坐骨神経にまで及んでしまうと下半身のあちこちに痺れが出てくることもあるでしょう。

さらに、下半身への負担は、それらを支える足の付け根へと集中しがちに。痛みや痺れだけでなく、足のむくみや頻繁にこむら返りが起こるなどの症状も出てきそうです。これらの不調は辛いものですが、出産後は治まります。今がピークだと思って、身体を休めたり、温めたりしながら、頑張って乗り切ってください。

また、出産が近づいてくると、子宮口が開いてくるのですが、一般には、3cmまで開くと10~15分間隔の陣痛が始まると言われています。

子宮口は、内子宮口と外子宮口の2つがあって、その間に子宮頸管があります。子宮口は、最初に内子宮口が開き、子宮頸管が短くなっていって、最終的に外子宮口まで開くと、「開いた」状態になります。もちろん個人差もあるのですが、この週くらいでは子宮口が1~2cmほど開くようになるのだとか。ですが、この子宮口の開きが直ちに出産に直結するわけでもないので、普段通りの生活を行って大丈夫です。

また、出産が近づいたサインとして「おしるし」がありますが、おしるしがあったのにも関わらず、2~3日たっても陣痛がやって来ない時もあります。これは、おしるしだと思った出血が別のものであった可能性が考えられます。

この時期、ママの身体や肌はとてもデリケートになっているので、ちょっとしたことでほんの少し出血してしまうことはよくあるのだとか。「おしるしだと思ったけど違っていた」というケースも実は多いようですね。また、妊婦さんの半数近くは、おしるしがないままで陣痛が起こるそうなので、おしるしが来なくても心配する必要はありません。

それから、正産期に入っているこの時期は、いつお産が始まっても大丈夫なように、入院準備はもちろんのこと、お産の流れ呼吸法などをもう一度確認し、心身ともにお産の準備を万全に整えておきましょう!

赤ちゃんの様子

妊娠38週の赤ちゃんは身長47~49cm体重2,7~3,2kgくらいまで成長します。赤ちゃんは3kg=3,000g前後になったくらいから、増量のペースが落ち着き、皮下脂肪が少し増加する程度になります。

また、胎毛はどんどん抜け、皮膚がしっかりしてきて、半透明な状態だったのがどんどん薄いピンク色の赤ちゃんらしい肌の色へ変わっていきます。皮下脂肪がさらについて、外から内蔵や骨が見えなくなるほど厚みを増し、肌としての機能もほぼ完成に。超音波エコーでは丸々とした赤ちゃんの顔が画面いっぱいに見られるようになるでしょう。

さらに、髪の毛まつげ眉毛などの形成が後回しになっていた細かな部分に関しても、ついに完成を迎えることに。手足の爪も指先を超えるほど長く伸びて、赤ちゃんが自分の手で引っかき傷を作ってしまうこともあるとか。

生まれてしばらくして生えてくる乳歯も、そのは口腔内にきちんとスタンバイ。出番を待っている状態にまでなります。

 

妊娠39週

ママの身体と注意点

妊娠39週には、子宮底が下がって膀胱への圧迫がさらに大きくなり、頻尿尿もれに悩むママが増えることでしょう。さらに、骨盤内にすっぽりと頭がおさまった赤ちゃんは大きく動けなくなるので、ママは胎動を感じにくくなるはずです。

また、ほとんどの赤ちゃんが頭を子宮口に向けた頭位の姿勢を取り、骨盤の中に頭をおさめているので、子宮口の開きを内診する際に、医師が指先で赤ちゃんの頭皮や髪の毛に触れられることもたまに起こるのだとか。まさに、赤ちゃんとの対面まであと一歩のところまできているのですね!

ただ、この時期、赤ちゃんが大きく育ちすぎていたり、陣痛が始まったとしても赤ちゃんの心音が低下していったりというような胎児の生命に危険が及ぶような場合は、医師から「帝王切開で出産しましょう」と言われることがあります。多くのママは経膣分娩で普通に出産したいと思っているでしょうが、このような赤ちゃんの状態が危険な時は必ずしも自分の望みどおりにいかないこともあるということを覚えておきましょう。

また、妊娠42週以降「過期産」となってしまうため、ここまで待っても陣痛の気配が感じられない時は、「陣痛誘発促進剤」を使って出産にこぎつけることがあります。

薬というと、「赤ちゃんに影響はないの?」と心配になるママも多いでしょうが、「過期産」に入ると、赤ちゃんが大きく育ちすぎたり、羊水の少なくなりすぎたり、胎盤の機能が低下していったりするので、一般的な産院ではこの時期を迎えた場合は誘発分娩での出産が多くなってきます。

そうはいっても、多くのママがこの正産期に無事、出産をしているので、あまり心配しすぎないように!もちろん個人差もありますが、平均すると陣痛が起こってから、初産なら10~12時間経産婦なら4~6時間ほどかかるようですよ。

特に初産の場合は、陣痛が起こったからといって数時間で分娩までいくわけではありません。そのため、多くの産院では陣痛の間隔が10~15分になったら連絡するように指示が出ておるはずです。

また、パパが立ち会い出産を希望するのなら、どのタイミングで病院に来てもらうか、何を手伝ってもらうかなど、出産までの流れを夫婦二人で一度シュミレーションしておくと安心です。

それから、妊娠39週のこの時期は、お産がもう目の前までやってきている頃。出産をできるだけ楽に乗り切るためにも、ラマーズ法などの呼吸法を練習しておきましょう。立ち会い出産を望むパパも、是非一緒に取り組んでください。

赤ちゃんの様子

妊娠39週の赤ちゃんは、身長48~50cm体重2,8~3,4kgくらいまでに大きくなるでしょう。

赤ちゃんの身体を覆っていた胎脂はほとんど取れ、女性ホルモンであるエストロゲンの影響で性別に関わらずふっくらしています。また、外に出たときのための体脂肪も蓄えており、15%にまで増加しています。狭い産道を通る時のために頭蓋骨は完全には固まっておらず、出産時は薄い5枚の骨のつなぎ目を重ねて頭を小さくしながら産まれ出てきます。

胎脂の多くは無用となってどんどん剥がれていきますが、全てなくなるわけではありません。分娩時に潤滑油の役目を果たしたり、出産後の皮膚の乾きから赤ちゃんを守ったりする働きがあるため、ある程度残るのが普通です。ですからママは、出産直後のクリームのようなものが付いている赤ちゃんを見て、驚くかもしれませんね。