「妊婦さんがお寿司を食べるのはよくない」とよく言われます。

しかし、酢が効いてさっぱりとした口当たりの美味しいお寿司。妊娠中であっても無性に食べたくなること、ありますよね?

そこで今回は、「妊娠中はお寿司が本当にNGなの?」それとも「注意をすれば食べることはできるの?」「注意するならどんな点を?」といった、妊娠中のお寿司にまつわる数々の疑問不安を一気に解決していきたいと思います!

妊婦だけどお寿司が大好き!
お寿司が食べたい!でも、妊婦は本当に食べちゃダメなの・・?

というママ!是非、この記事でその不安をすっ飛ばしちゃってください!

妊婦さんにお寿司がNGな理由とは?

「妊娠中はお寿司やお刺身がNG」と言われます。ある意味で、それは正解です。しかし、厳密にいうと「問題はあるが、気をつけて食べれば大丈夫」というのが、実は本当の意味での正解になるんですよ!

つまり、妊婦さんでもお寿司やお刺身を食べることができるが、その際は普通の人よりも注意をしなければならないということなのです。

では、どの点で妊婦さんは注意を払わなければならないのでしょう?以下の3つの問題とその解決策を見ていきましょう。

食中毒トラブル

妊婦さんがお寿司やお刺身を食べるのはよくないとされている最大の理由が「食中毒トラブル」です。

妊娠中は普段よりも免疫力が下がっている状態です。ですから、通常なら食中毒など起こさないような食物にも食あたりや食中毒を起こす可能性がどうしても高くなってしまうのです。

ましてやお寿司やお刺身などは「生魚」です。例えば、「生魚」に付着している「リステリア菌」は、衛生管理の行き届いた日本ではほとんど発生しない食中毒の原因の1つではありますが、発症すると激しい食中毒を引き起こします。

通常であればなんら問題のないレベルの量であっても、免疫力の落ちている妊婦さんにとっては大きな問題になることもあるのです。

特に流産などの危険性が高い妊娠初期は注意が必要です。食中毒や食あたりになるとお腹を激しく下してしまうので、子宮が収縮されて流産の可能性が高まることが指摘されているからです。

しかも、妊娠中は激しい食あたりや寄生虫などによる食中毒に対して、適切な処置が不可能になります。というのも、通常であれば食中毒などには一定期間の抗生剤投与が行われるのですが、胎児への悪影響を考えると、強い効き目を持つ抗生剤の服用が難しくなるからです。

そうなると、食中毒が自然と治まるのを待つしかなくなってしまいます。しかし、食中毒を処置しないまま数日間耐えるのは非常につらいことです。

また、食中毒には高熱を伴うことも多く、その熱で羊水の温度が高くなったり、嘔吐や下痢などで体内の水分が減少して羊水が少なくなってしまったりというトラブルも起きがちです。

妊娠中の「食中毒」には、このような危険性が潜んでいるのです。これは十分に気をつけなければいけませんよね!

解決策は?

食中毒を招かないための対策として有効なのは、お寿司やお刺身を食べる時、「新鮮なものを選ぶ」ということと、「加熱してあるものを選ぶ」という2点です。

「新鮮なもの」であれば食中毒にかかる可能性はぐっと低くなります。例えば、自分の目の前で調理し、握ってくれる「お寿司屋さん」であれば、使っている食材の鮮度や調理の仕方を自分の目で見てチェックすることができますよね?

また、「回転寿し」であれば、少し面倒ではありますが、いつから回っているかわからないお皿を取るよりも、新しく回ってきたお皿、もしくは自分で注文して新しく握ってもらうようにする方がおすすめです。

お家で「手巻き寿司」などを食べる時も、スーパーなどでなるべく「新鮮な」お魚を選ぶように心がけましょう。

また、「加熱してある」お寿司であれば、食中毒や食あたりの危険性はほぼ0になると思います。生魚を使っていないカッパ巻き、かんぴょう巻き、お新香巻きなどはいくら食べて大丈夫!

さらに、「ちらし寿司」なら、錦糸卵・椎茸・ボイルした海老・レンコン・人参・桜でんぶなどの食材でできていますので、生魚による食中毒の不安を感じることなく、安心して食べられると思います。

糖質の摂り過ぎトラブル

お寿司は油も使わず一見ヘルシーだと考えられがちですが、実はお寿司1人前=10~12貫に使用されるご飯の量は220g。通常のお茶碗1杯分の量が140gなので、摂取量は約1.4倍にもなってしまうのです。

さらに、寿司飯には「砂糖」も使用されています。その量は1人前につき7gほど。お寿司にはお野菜が使われることが少ないですから、注意しなければ炭水化物と糖分だけを摂りすぎてしまうことになります。

妊娠中は皮下脂肪が付きやすく、太りやすいとされています。そのため、炭水化物と糖分が多いお寿司は食べる量を考えなくてはいけません。

また、糖尿病体重の増加を指摘されている方は特に注意する必要がありますね。

解決策は?

では、お寿司で糖質を摂り過ぎないようにするたにはどうしたらいいのでしょう?

それは、ご飯の量を半分~7割程度に減らすこと。量を減らせば、自然と糖質の摂取量も抑えることができるはずです。

ただし、ご飯=寿司飯だけ残すわけにはいきませんので、食べる量をいつもの半量~7割ほどに抑えておくのが肝心です。そしてその分、サラダや煮物などお野菜をメインにしたお料理を追加して補うと、よりバランスが取れて良くなります。

ちなみに、お寿司屋さんにつきものの「ガリ(生姜)」も妊婦さんは安心して食べることができますが、海外では食べ過ぎに注意するべき食材とも言われているとか!たくさん食べ過ぎないようにしましょう。

また、お寿司屋さんで出される「緑茶」にはカフェインが含まれています。こちらも注意してくださいね。

水銀問題

お魚はヘルシーで栄養価も高く、妊婦さんには強い味方となる食材ですが、その一方で「水銀問題」も抱えています。

「水銀問題」とは、食物連鎖の上位に位置するお魚ほど多くの水銀を含み、それらのお魚を妊婦さんが食べ続けて体内に水銀を蓄積することで、赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があるというものです。

特に、お腹の赤ちゃんが水銀を摂ってしまうと、神経系に影響が出ると言われており、生後、1/1000秒以下で音に対する反応が遅れがちになるという報告がなされています。

これは「将来の社会生活に支障をきたすような重度なものではない」と言われているのですが、我が子に悪影響があるとわかった上で摂取することには強い抵抗がある・・というママも多いはず。

では、お寿司を食べる時、この「水銀問題」にはどう対処したらいいのでしょうか?解決策を見ていきましょう!

解決策とは?

お魚には「水銀」が含まれるから注意が必要!と言っても、実は「水銀」を含まないお魚もあるのです。

そのため、妊娠中に安心してお寿司を食べたいのなら、「水銀」を含まないお魚を使ったお寿司やネタを選べば大丈夫ということになりますね。

以下に「安心して食べられるお魚やお寿司のネタ」を挙げていきます。お寿司を選ぶ時の参考にしてみて下さい。

【安心して食べられるお魚やお寿司のネタ】

・キハダマグロ
・ビンナガマグロ
・メジマグロ
・タイ
・サケ(サーモン)
・カツオ
・ブリ
・アジ
・サバ
・イワシ
・サンマ
・エビ
・カニ
・ウニ
・ツナマヨネーズ
・穴子
・玉子
・カッパ巻き
・かんぴょう巻き
・お新香巻き

マグロは一般的に、食物連鎖の上位にある魚で「水銀」の含有量が多いと言われています。しかし、「キハダマグロ (別名キワダなど)」「ビンナガマグロ(別名ビンチョウマグロ)」「メジマグロ
(クロマグロの小さいもの)」は水銀が含まれていない、もしくはそれに準ずる水銀保有量しかないと言われています。

また、「ツナ缶」にはマグロやカジキマグロがよく使われますが、「ツナ缶」に水銀は含まれていないとされています。ですから、ツナマヨネーズもOKです。

ですが、こうやって食べられるネタなどを並べると結構種類がありますよね?食べ過ぎや種類、鮮度などに気をつければ、妊婦さんでもお寿司を美味しくいただくことは十分に可能なようです!

一方、「水銀」の含有量が多いなど妊婦さんができるだけ避けていただきたいお魚や、注意してほしいネタなどもあります。

【避けるべきor注意が必要なお魚やお寿司のネタ】

・金目鯛
・メバチマグロ
・本マグロ(クロマグロ)
・メカジキ・クジラ
・イルカ
・サメ
・バイガイ
・牡蠣
・その他の貝類

・キダイ
・マカジキ
・ミナミマグロ(インドマグロ)
・ネギトロ
・ノドグロ(ユメカサゴ)
・うなぎ
・いくら
・とびっこ
・数の子

厚生労働省によれば、妊婦さんの「水銀」の摂取量の目安週に合計80gまで。万が一、週に80g以上摂取した場合は、翌週を控えめにして2週間で合計160g以内におさまるように調整することを推奨しています。

つまり、「水銀」を多く摂取しないようにするためには、「水銀」を含んだ魚をたくさん食べないようにすることが大事!どうしても「水銀」を含むお魚やお寿司を食べたい時はごく少量にとどめておくようにしましょう。

中でも、リスト中の赤字で表してある「金目鯛」~「その他の貝類」までは、できるだけ避けるべきもの。

牡蠣や貝類に関しては、「水銀」という問題以前に激しい食中毒を引き起こす「ノロウィルス」への感染の危険性があるため、妊娠中は避けておいたほうが無難な食材になります。

これらの避けるべきお魚やネタは、できれば妊娠中は食べないでおくのがベストなのですが、「どうしても食べたい!」という時でもたくさん食べるのはNG!2日に1貫程度が食べてもいい上限の目安になります。

一方「キダイ」~「数の子」までは、注意が必要になるネタになります。

「キダイ」「マカジキ」「ミナミマグロ」「ノドグロ(ユメカサゴ)」は、微量の水銀が含まれています。こちらは、1日に1貫程度、1週間で2人前以下に抑えておきましょう。

ちなみに「ノドグロ」と呼ばれる魚には「チゴダラ」「アカムツ」「ユメカサゴ」があり、「ユメカサゴ」以外であれば水銀が含まれていませんので大丈夫です。

また、一般的にお寿司屋さんで「大トロ」「中トロ」と呼ばれているものは、「クロマグロ」「ミナミマグロ」が多いようです。中には「メバチマグロ」や「キハダマグロ」を加工しているお店もあるそうです。

さらに、「ネギトロ」は本来「マグロ」が使われるものですが、「回転寿し」などでは、ほぼ「アカマンボウ」が使用されているとか。マンボウも食物連鎖の上位にある魚ですので、「水銀」を含んでいると考えられ、注意が必要です。

そして「うなぎ」ですが、実は「レチノール」と呼ばれる「動物性ビタミンA」が多く含まれる食材です。

この「動物性ビタミンA」の過剰摂取は胎児の奇形や先天性異常などを引き起こす恐れがあると言われています。ですから、たまに1皿食べる程度であれば問題はないとされていますが、一度にたくさんの量を食べるのはNGです。

さらに「いくら」「とびっこ」「数の子」などの魚卵は「リステリア菌」に感染している可能性があります。塩で下処理をしているため、塩分が多く食中毒を発症するリスクは少ないですが、妊婦さんには塩分の取り過ぎは厳禁!食べ過ぎ注意です!

また、お魚に含まれる「水銀」量は、煮ても焼いても変わりません。ですから、お寿司でなく、煮つけなら大丈夫というのは大きな間違いになりますので気をつけて下さいね。

妊婦さんがお寿司を食べるなら?

妊娠中は、今まで大好きで美味しく食べられていたお寿司にも注意を払う必要があることがわかりましたね。

しかし、全てのお寿司がNGというわけではなく、ママやお腹の赤ちゃんに与える影響をきちんと知った上で、新鮮なネタや適切な種類を選び、摂取量を守れば問題はないとも言えます。

美味しいものを食べれば、妊娠中に溜まりがちなストレス発散にもなります!

お寿司について正しい知識を持ち、食中毒や水銀などから可愛い赤ちゃんを守りながら、是非、妊婦さんも美味しいお寿司を堪能してみてくださいね!