葉酸を十分に摂ると、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを軽減させることができます。そのため2002年から葉酸の重要性について、母子手帳にも記載されるようになりました。
葉酸はビタミンの一種であり、ほうれん草から発見された栄養素です。母子手帳にも葉酸を含む食品として、ほうれん草の記載があります。
一方で形状がほうれん草と良く似ている小松菜にも、豊富な栄養素が含まれていることをご存知でしょうか。
鉄分、ビタミンC、カルシウムといった妊婦に必須である栄養素は、実はほうれん草よりも小松菜の方に多く含まれています。そこで今回は、小松菜の栄養素や栄養を逃さない調理法・レシピについて解説していきます。
もくじ
ほうれん草と比較する!小松菜の葉酸含有量
小松菜もほうれん草も、形状が良く似ています。見た目の違いは、小松菜の方が葉がやや丸く、茎が太い感じがするくらいです。
では栄養素を比較すると、どうでしょうか。文部科学省の食品成分データベースによると、葉酸の含有量は以下の通りです。
【100g当たりの葉酸含有量】
- ほうれん草(茹で):110μg
- 小松菜(茹で):86μg
これを見ると、若干小松菜の方が葉酸含有量は少なくなっています。ただし、これは小松菜を茹でた場合のデータです。
ほうれん草は結石の原因となるシュウ酸が多く含まれるため、茹でる下処理が必須です。
一方で小松菜はアクがなく、調理の際、茹でる必要がありません。そして、茹でていない生の小松菜100gには、葉酸110μgが含まれています。つまり小松菜を茹でずに調理すれば、茹でたほうれん草と葉酸含有量は同じになります。
鉄分はほうれん草の3倍!小松菜の栄養素を詳しく解説
では葉酸以外の栄養素の比較は、どうでしょうか。
調べてみると以下の栄養素について、ほうれん草よりも小松菜により多く含まれていることが分かりました。
鉄分 | ビタミンC | カルシウム | |
小松菜(生) | 2.8mg | 39mg | 170mg |
ほうれん草(茹で) | 0.9mg | 19mg | 69mg |
前述の通り、ほうれん草はシュウ酸除去のために茹でて調理する必要があります。そのため栄養素の比較は、小松菜(生)とほうれん草(茹で)でしています。
しかし仮に小松菜を茹でた場合でも、上記の栄養素については、小松菜の方が含有量は多いです。
中でも妊婦の貧血予防に重要な鉄分が多いことが、小松菜の魅力の1つです。
妊婦の血液は妊娠12週頃から増え始めますが、臨月前には通常の4~5割も血液が増えていきます。このため妊婦は貧血になりやすく、妊婦全体のおよそ4割が貧血の診断を受ける傾向にあります。
貧血状態が続くと、慢性的な疲れに悩まされる場合も多いです。さらに出産の際に貧血状態だと、最悪の場合、命に危険が及ぶ場合もあります。
そのため貧血予防にもなる小松菜は、妊婦に積極的に食べてもらいたい野菜の1つです。さらに鉄分の吸収を助けるビタミンC も含まれているため、利用価値は高いです。
他にはカルシウムの量もほうれん草と比較すると、2.5倍近くあります。ちなみに牛乳100gに含まれるカルシウムが110mgです。このことからも「小松菜がいかにカルシウムを多く含み、栄養価に優れている野菜であるか」が分かるかと思います。
妊婦が小松菜の栄養を丸ごと摂取する方法
このように栄養豊富な小松菜は、「ちょっとしたコツを守る」ことで栄養素を丸ごと摂取することができます。
そのコツとは調理の際、茹でないことです。茹でると葉酸やビタミンCなどの水溶性ビタミンがお湯に溶け出すデメリットがあります。
しかし小松菜は、ほうれん草のようにシュウ酸がなく茹でる必要がないため、生のままザクザクと切りそのまま調理に使うことができます。
ただし和え物など、火を通して使いたい場合もあると思います。そのようなときは、熱や水による葉酸の消失を最小限にするために、サッと小松菜を蒸して加熱する方法がおすすめです。
【小松菜の蒸し方】
1.小松菜を洗う。葉は水を入れたボウルで振り洗いをすると汚れがよく落ちる。
根っこは広げて洗うと土が良く取れる。
2.蒸し具合を同じにするため、同じ大きさになるように小松菜を切る。
このとき根っこは汚れた部分だけを薄く取り除き、残りの部分はすだれ状に切ると無駄なく食べることができる。
葉は縦半分に切ってから一口大に切ると、大きさが揃う。
3.フライパンに小松菜と大さじ1の水、塩少々を入れ蓋をする。
弱火で好みの柔らかさになるまで加熱する。
小松菜はアクがないため、生食もできるぐらいの野菜です。加熱する時間が長ければ長いほど葉酸が消失していくため、火を通す時間はできるだけ短いほうが良いです。
蒸し上がってくると、写真のように鍋蓋に水滴が付くようになります。具体的には、2分位あれば十分加熱することができます。
葉酸は水にも溶けやすいため、最小限の水分で蒸すのが理想です。しかし焦げ付きが心配な場合は、水の量を増やしても良いです。
このように加熱した小松菜をストックしておくと、様々なメニューに使うことができます。
【蒸した小松菜の活用法】
- ツナとマヨネーズで和える
- おかかやごまをふり、醤油をかけて食べる
- 胡麻和えやナムルにする
小松菜を蒸すときは、もちろん蒸し器を使っても良いです。ただし蒸し器を洗う手間があるため、上記の蒸し方がおすすめです。そして蒸した小松菜で作る白和えは、我が家の定番メニューです。
【材料】
- 蒸した小松菜:1/2把分
- 豆腐:1/2丁
- 白みそ:大さじ1と1/2
- 練りごま:大さじ2/3
- 塩:小さじ1/2
【作り方】
- 豆腐を下茹でする。そうすることで、臭みを取ることができる。
- 茹でた豆腐を布巾で包み、30分以上水気を切る。
- すり鉢に豆腐と白味噌、練りごま、塩を加えしっかり擦る。
- 食べる直前に、3の和え衣と蒸した小松菜を和える。
人参があれば、これを小松菜と一緒に蒸して加えると、彩りがきれいになります。また同じ味噌でも白味噌には甘みがあり、砂糖を使う必要がないため妊婦さんにはおすすめです。
そのほか丸ごと栄養を摂取する方法として、スムージーがあります。つわりなどで食事がうまく摂れないときには、役立つ場合もあります。
【小松菜のスムージー】
【材料】コップ2杯分
- 小松菜1/2把
- りんご1/2個
- バナナ1本
- 水150cc
作り方はとても簡単で、すべての材料をミキサーにかけるだけです。ただし真空状態で作ることの出来るミキサー以外では、刃物で刻んだ瞬間から酸化が進んでいきます。
また小松菜のみではどうしても青臭さがあるため、バナナやりんごなどの果物や砂糖を加えるレシピが多いです。
上記のレシピも果物がたくさん入っているため、小松菜の味は全くしません。甘みがありとても美味しいので、つわりのときやおやつとして、たまに飲む分には良いと思います。しかし毎日飲むとなると、やはり糖分過多の懸念があります。また氷を入れて作る場合も多く、体を冷やすことも考えられます。
したがって妊婦の場合は、スムージーではなく温かいスープなどの調理法がおすすめです。
そのほかの妊婦におすすめ小松菜レシピ
小松菜はアクがないため、和え物以外では下茹でせずにそのまま使うことができます。そのため我が家では、適当に切った小松菜を生のまま汁の中に入れて、スープやみそ汁の具として食べることがよくあります。
当然、汁の中に葉酸は溶け出しますが、汁ごと飲めば溶け出した栄養素を摂取することが可能です。
そのほか、おすすめは油炒めです。
小松菜には緑黄色野菜に含まれるβカロテンが生・茹で共に3100μg含まれています。βカロテンは、体内でビタミンA となり皮膚や粘膜を正常に保ったり、目の神経物質として働いたりします。また発がん物質が、体内で増えるのを抑制する働きも持っています。
このβカロテンは油と合わさることで、より吸収が良くなる特徴があります。炒めることで、葉酸も水に溶け出すこともありません。ただし葉酸は熱にも弱いため、油炒めに小松菜を使う場合はすばやく火を通す程度に留めることをおすすめします。
油炒めでおすすめは、焼うどんや焼きそばです。仕上げに小松菜をサッと炒めるだけで彩りもきれいになります。
このように小松菜はほうれん草に比べて、下茹での必要がないというメリットがあります。その上、妊婦の貧血予防になる鉄分や骨の形成を助けるカルシウムが豊富です。
旬は12~2月頃ですがハウス栽培も盛んなため、1年中食べることができます。お腹の赤ちゃんと自分のために、意識して摂取することをおすすめします。
葉酸サプリメントを活用して、食事の負担を減らす
ただし、栄養が豊富な食べ物であっても毎日食べるとなると負担になる場合があります。
実際に小松菜に含まれる葉酸やビタミンCは、体に蓄積しない水溶性のビタミンであるため、毎日摂取することが大事になってきます。
しかし妊娠中は、つわりのために食欲が落ちることがよくあります。またお腹が大きくなると、胃が圧迫されるため思うように食事ができないこともあります。
私の場合は食べ物のみから栄養素を摂ることがストレスになると考え、葉酸サプリメントを活用することにしました。また厚生労働省も葉酸サプリメントを推奨していることを知っていたため、安心して摂取していました。
仮に小松菜のみで妊婦が1日に必要な葉酸400μgを摂取するとなると、およそ400g(2把)の小松菜を食べる必要があります。ただし葉酸は、体内で吸収される過程において吸収率が半減することが分かっています。そのため、小松菜以外の食品でも実際は半減する分を考慮して、小松菜だと2把以上を多く食べる必要があります。
しかし毎日、このような量を食べることが負担になる場合も多いです。そして、このような欠点を補うものとして、葉酸サプリメントがあります。
例えばベルタという葉酸サプリは、1日4粒飲むことで妊婦が1日に必要な葉酸400μgを摂取することができます。
葉酸は体に蓄積せず、過剰に摂取した分は尿として体外へ出ていく特性があります。そのため私は、葉酸サプリの1日量を毎食後3回に分けて飲むようにしていました。こうすると、飲み忘れもなく確実に葉酸も摂れるため安心です。
ただし、葉酸サプリメントであれば何でも良いわけではありません。特にドラッグストアに置いてある商品は、値段が手頃なのは利点ですが、余計な添加物が入っている場合がほとんどです。具体的には以下のような添加物です。
- 糖分:かさ増しのために一番多く含まれる場合が多い
- 香料:飲みやすさのため加えられることがある
- 脂肪酸エステル:染色体異常が指摘されている
妊婦が口にしたものは、そのまま胎盤を通して直接赤ちゃんの栄養となります。またお腹の中の赤ちゃんは未熟なため、添加物の影響を受けやすいです。そのため、添加物や安全面に配慮したサプリメントを選ぶことはとても大事です。
まとめ
小松菜には100g当たり、茹でたもので86μg、生だと110μgの葉酸が含まれています。また鉄分、ビタミンC、カルシウムがほうれん草よりも多く、妊婦におすすめの野菜です。
小松菜はほうれん草のようにアク(シュウ酸)がないため、生食したり下茹でなしでそのまま調理したりできます。加熱する場合はサッと蒸して、なるべく熱や水による葉酸の消失を防ぐ方法がおすすめです。
小松菜はどんな料理でも合うため、活用しやすい野菜です。ただし小松菜のみで妊婦が1日に必要な葉酸400μgを賄おうとすると、2把以上食べる必要があります。そこで食べ物と併用して、葉酸サプリを活用する方法がおすすめです。
葉酸サプリを活用すると、確実に1日に必要な葉酸が摂取できます。また「葉酸を毎日の食事で摂らなければ」という負担を軽減させることにもつながります。
お腹の赤ちゃんと自分のために、食品と共に葉酸サプリメントも活用して効率よく葉酸を摂りましょう。