赤ちゃんはお腹の中でママから栄養を貰って成長します。つまり、ママが摂る栄養素が赤ちゃんをつくっているといっても過言ではないわけです。

お腹の中の赤ちゃんが元気に成長するためにも、赤ちゃんの成長に特に必要な栄養素をよく知り、バランスのいい食事が摂れるように心がけてみましょう!

亜鉛

赤ちゃんは、お腹の中で細胞分裂を繰り返しながら大きくなっていきます。
その細胞分裂が正常に行われるよう促す役目を持つのが、亜鉛

そのため、ママの身体に亜鉛が不足している状態だと、お腹の赤ちゃんも亜鉛が不足している状態となり、赤ちゃんに低体重や低身長のリスクが出てくると言われています。

また、亜鉛は遺伝子発現やタンパク質の合成など、多くの生体反応に関わっていて、皮膚を保護する役割もあるため、亜鉛が不足すると、皮膚が弱くなってアトピー性皮膚炎にかかりやすくなるという恐れも。

その他、亜鉛には、味を感じる「味蕾」を正常に働かせる作用があると言われ、赤ちゃんの正常な味覚を作ることにもつながる大切な栄養素。

亜鉛を多く含む食材は、牡蠣・レバー・ナッツ類・牛肉・卵黄・干しシイタケ・うなぎ・チーズ・ラム肉などと言われますので、バランスのいい食事はもちろんのこと、これらの食材を念頭に入れておくといいですね。

タンパク質

タンパク質は、赤ちゃんの脳や皮膚、髪の毛を作るために欠かせない栄養素。

肉・魚・卵・チーズ・豆類・穀類に多く含まれるのですが、カロリーが高いのが難点。そこでおすすめなのは、低カロリーで高タンパク質な 鶏ささみ・レバー・もも肉・ヒレ肉など。

また、魚も肉に劣らない優れたタンパク質で、丸干しイワシ・アジ・鮎・マグロ・カツオ・サンマ・鯛・鰻などが多くタンパク質を含むとされています。

その他、パルメザンチーズ・チェダーチーズ・プロセスチーズといったチーズや、生湯葉・納豆・豆腐などの大豆類、小豆・えんどう豆・空豆などの豆類にも多く含まれるので、上手に動物性タンパク質と組み合わせて食べるのがおすすめ。

また、タンパク質は、鉄分やカルシウムの吸収を助ける働きがあるので、それらを含む食材と一緒に摂ると効果がUPします。

カルシウム+マグネシウム・ビタミンD

お腹の中の赤ちゃん自身の骨や歯などの成長のため、妊娠30週までに150mg/日、出産近くになると350mg/日必要なのが、カルシウム

そのため、ママは妊娠中900mg、産後になると1,100mg/日のカルシウム摂取が必要で、成人女性の必要な量:600mg/日と比べると、妊娠中は1.5倍、産後は2倍必要になるということになります。

このカルシウムが不足すると、赤ちゃんの骨や歯の成長の妨げになるのはもちろん、妊娠中は赤ちゃんへ送られるカルシウムが優先されるため、ママの骨や歯などがもろくなったり、骨粗鬆症になりやすくなったりする恐れも!

また、カルシウムの吸収には、マグネシウムが必須!カルシウムを摂る場合には、マグネシウムも意識し、その比率としては一般的に、2:1がよいとされているようです。

そして、カルシウムの吸収をよくするためには、ビタミンDが効果的だそう。これは日光を浴びることによって体内で合成されるため、美容のためにと日光を遮ってばかりいるのは実はよくないこと!赤ちゃんの健康のためにも、手や足など日焼けしてもいい部分をなるべく出すようにするといいですね。

カルシウムが多く含まれる食材としては、ヨーグルト・チーズ・ゴマ・煮干し・ししゃも・桜エビ・鮭・小松菜・大豆食品などです。牛乳は、一説によれば、そのほとんどが高熱処理されており、そのような牛乳はカルシウムの吸収を阻害するとも言われているとか。気になるようでしたら、低温殺菌された牛乳を選ぶのがいいかもしれませんね。

また、マグネシウムを多く含む食材は、枝豆・しそ・オクラ・パセリ・大豆・煮干し・いわし・しらす干し・干しエビ・するめ・あさり・ワカメ・ひじき・ゴマ・アーモンドなど。
カルシウムが多い食材と重なることものも多いようです。

また、カルシウムに関しては、私たちの身体に蓄積や吸収、排出の調節機能がもともと備わっています。ですから、多少カルシウムを過剰摂取しても身体から排出されるので、心配はないとされています。

鉄分

妊娠中は母体だけでなく、赤ちゃんにも多くの酸素を送ることになるため、赤血球による酸素運搬の働きが大切になるのですが、鉄分などが不足して貧血状態になるとこの酸素の運搬機能が低下してしまい、赤ちゃんへ十分な酸素が行き渡らなくなる恐れがあります。

また、妊娠中はどうしても赤ちゃんへ優先的に栄養や血液が送られてしまうため、貧血になりがち。ふらふらして転倒などがあると母体共に危険です。そのためにも貧血予防に欠かせない鉄分は大切な栄養素ですね!

その他、鉄分は、神経組織の発達や造血に必要な栄養素でもあります。
それが不足し、貧血が続くと、分娩時の異常出血産後の回復に遅れが見られることが指摘されており、極端に鉄分が欠乏している場合は、心臓に穴があく「心臓中隔欠損症」「アトピー性皮膚炎」「喘息」などの発症リスクが高まる危険性があるとも言われているそうです。

厚生労働省の摂取基準では、妊娠初期に+2.5mg、妊娠中期には+15mgが必要になるのだとか。鉄分を多く含む食材は、カツオ・いわし・キハダマグロなどの魚や、煮干し・あさり・しじみ・牡蠣などの貝類の他、豚や牛の赤身・レバー類・豆類ほうれん草パセリ・モロヘイヤ・小松菜等の緑の野菜や、青のりひじき乳製品にも多く含まれています。

また、良質なタンパク質ビタミンCを含む食品と一緒に摂取することで、体内への鉄分の吸収率がアップするので、肉類や魚、野菜や果物と一緒に摂ったり、お酢やレモン汁などで味つけをしたりするがおすすめですね。

DHA・EPA

DHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイサコペンタエン酸)は、魚の脂に含まれる栄養素。今、注目度の高い「オメガ3脂肪酸」です。多く含む食材は、イワシアジ・サンマ・カツオ・マグロなど。

このDHA・EPAは、脳の機能を高め、知能を高める効果があると言われ、2003年にノルウェーで妊娠18~産後3ヶ月までの590人の女性に、DHAとEPAが含まれるタラ肝油を摂ってもらった実験によると、DHAとEPAが含まれないコーン油を摂っていたママの子どもに比べて、問題解決能力や物事を順序立てて理解する能力が高くなったという結果が出ているそうです。

また、DHA・EPAが足りない場合、ママのマタニティブルー産後うつの発症リスクが高まるとも指摘されています。

ただし、カツオやマグロといった大型の魚には「水銀」が他の食材よりも比較的多く含まれていることを忘れずに!身体にいいからと過剰摂取するのはNG
あくまでもバランスよく、どの食材も摂り過ぎには注意です!

ビタミンA

ビタミンAは、骨や神経系の分化や骨格形成などに深く関わる栄養素です。
特に、赤ちゃんが活発に細胞分裂を繰り返す妊娠1~2ヶ月の頃にビタミンAが欠乏してしまうと、歯並びが悪くなる顎が細くなるなどの骨格形成に影響が出やすくなると言われているそうです。

また、皮膚や粘膜を丈夫に保つ働きがあり、感染予防に効果があるとも言われる栄養素ですね。

ビタミンAが多く含まれる食材としては、鶏レバー・モロヘイヤ・鰻・人参・パセリ・春菊・卵黄・小松菜・にらなど。

ただし、ビタミンAも過剰摂取はNGです!多く摂取しすぎると、「胎児に奇形を起こす可能性が高くなる」と国立健康・栄養研究所のデータで報告されているのです。

目安としては、7,800ug/日とされ、ビタミンAが豊富な鰻を例に取るなら、1日につき40~50g程度だとか。やはり、食事はバランスよく!が一番のようですね!

ビタミンB群・葉酸

妊婦さんに必要な栄養素としてよく言われる葉酸ですが、実は、ビタミンB1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・ビオチンといったビタミンB群の仲間

中でも、妊娠中に大切なのは、B6・B12・葉酸。赤ちゃんへ酸素を運ぶ赤血球を形成し、つわりの予防イライラの軽減などにも効果的だとか。

また、2000年以降の先天性異常の二分脊椎症無脳症の増加には、ビタミンB12と葉酸の補給でリスクを減らすことができるとの報告もあるそうです。

葉酸には他にも、妊娠初期に摂取によって、細胞分裂を促し、神経障害や流産などのリスクを減らす効果があるとされていて、脳の発育を助け、神経を作る働きがあります。もちろん、産後の赤ちゃんにも必要な栄養素であるので、妊娠中から摂取する習慣を作っておくのはいいですね。

葉酸を多く含む食材は、ブロッコリー・ほうれん草・枝豆・そら豆・肉類・卵・チーズ・キウイ・イチゴなど。ビタミンB12を一緒に摂るとより活性化される働きがあるため、セットで摂るのがおすすめです。

ビタミンB12を多く含むのは、牛肉・豚肉・レバー・魚介類・牛乳・チーズなど。
また、レバー豚肉などにはビタミンB6も多いとされています。